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株式交付 (かぶしきこうふ)

買い手が他社を子会社化する際の対価として自社株式を交付できる制度です。(必要に応じて現金併用可)
株式交換と違い、100%取得を要さず過半取得でも利用可能で、持株を使って資金負担を抑えたM&Aが行えます。
原則対価の8割以上を株式とし、株主総会承認・反対株主の買取請求・事後開示などの手続が必要です。
上場会社等はTOB規制に留意が必要です。

役割・実務での使われ方

「資金ゼロ」での大型M&Aの実現

最大のメリットは、買収対価に現金を使わず(または現金を抑えて)、自社株式を充てられる点です。
これにより、手元資金が潤沢でない企業でも、時価総額が大きい企業をターゲットとした大型M&Aに挑戦することが可能になります。

「100%取得にこだわらない」柔軟なグループ化

従来の株式交換では、対象会社の全株主から強制的に株式を買い上げるため、一部の株主を残したい場合(例:創業者に引き続き経営に関与してもらうため、一定割合の株式を保有し続けてもらう等)には使いづらい側面がありました。株式交付であれば、「51%だけ取得して連結子会社化する」といった柔軟な設計が可能です。

スタートアップ買収などでの活用(売り手のメリット)

売り手側(対象会社の株主)にとってもメリットがあります。
対価が現金ではなく買い手企業の株式となるため、M&A後も買い手グループの成長に伴う株価上昇の恩恵を享受できる可能性があります。
これは、成長意欲の高いスタートアップ経営者などを買収する際の強力な交渉材料となり得ます。

注意点

手続きが煩雑で時間がかかる

株式交付は「組織再編行為」に位置づけられるため、原則として株主総会特別決議が必要です。
また、債権者保護手続(一定の場合)、反対株主の株式買取請求手続き、事後開示など通常の株式譲渡と比べて法的な手続きが重く、実行までに数ヶ月単位の時間が必要です。

税務上の適格要件に注意

一定の要件(適格要件)を満たさない場合、売り手側の株主に株式譲渡益課税が発生します。
対価が現金のみであれば納税資金を確保できますが、対価が株式の場合、手元に現金がない状態で納税義務が生じるリスクがあるため、税務専門家による慎重なスキーム設計が不可欠です。

上場企業の場合のTOB規制

上場企業の株式を株式交付によって取得する場合、取得割合によっては金融商品取引法上の公開買付(TOB)規制が適用される可能性があります。
会社法と金商法の両方の規制に留意が必要です。

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