生前贈与 (せいぜんぞうよ)
個人が存命中に、自分の財産を無償で他人に譲り渡すことです。
亡くなった後に財産が移転する「相続」に対し、本人の意思で「いつ」「誰に」「何を」渡すかを自由に決められるのが最大の特徴です。
主な目的は、将来の相続税負担を軽減することや資産を希望通りに引き継ぐことです。特に経営者にとっては、後継者に自社株を計画的に譲渡しておくことで将来の経営権争いを防ぎ、スムーズな事業承継を実現するための有効な手段となります。
英語表記
Inter-vivos Gift
役割・実務での使われ方
事業承継における役割(経営権の安定化)
中小企業の経営者にとって、自社株の承継は最優先事項です。
生前贈与を活用して少しずつ後継者に株式を移転させることで、将来の相続発生時に一気に多額の税金がかかるのを防ぎつつ、後継者の支配権を徐々に固めていくことができます。また、株価が低い時期を狙って贈与することで、将来の価値上昇分を節税する効果も期待できます。
相続対策・節税(資産の分散)
「暦年贈与(毎年110万円の基礎控除)」などを活用し、長期間かけて配偶者や子、孫に資産を分散させることで、将来の課税対象となる財産を減らします。
教育資金の一括贈与などの特例を組み合わせることも一般的です。
注意点
贈与契約書の作成
贈与は「あげます」「もらいます」という双方の合意が必要な「契約」です。
後々のトラブルや税務署からの指摘(名義預金とみなされる等)を避けるため、必ず贈与契約書を作成し、確実な証拠を残すことが実務上必須です。
遺留分への配慮
特定の子供だけに多額の贈与を行うと、他の相続人の「遺留分(最低限もらえる権利)」を侵害し、死後に親族間でトラブルに発展する恐れがあります。
持ち戻し期間の延長
日本の税制改正により、死亡前の一期間内に行われた贈与を相続財産に加算する「持ち戻し期間」が段階的に7年まで延長されています。
より早い段階からの計画が必要です。
自社株評価の変動
贈与時の株価が想定より高いと、多額の贈与税が発生します。税理士等の専門家による適正な株価算定が不可欠です。