チャイニーズウォール(インフォメーションバリア) (ちゃいにーずうぉーる / いんふぉめーしょんばりあ)
企業内部において、部署間や担当者間での情報伝達を制限・遮断するための仕組みのことです。
物理的な壁ではなく、システム上のアクセス制限、オフィスフロアの分離、厳格な運用ルールなどによって構築される「情報管理の壁」を指します。
特にM&Aの現場では、買収の検討事実といった株価に多大な影響を与える「未公開の重要事実」を扱います。
こうした情報が関係のない部署や担当者に伝わると、インサイダー取引などの違法行為につながりかねません。
また、金融機関などが売り手と買い手双方のアドバイザーを務める場合に生じる利益相反を防ぐ目的でも用いられます。
チャイニーズウォールは、情報漏洩や不正取引を防ぎ、公正な取引環境を守るために不可欠なコンプライアンス体制です。
英語表記
Chinese Wall / Information Barrier
役割・実務での使われ方
主に「違法行為の防止」と「顧客の利益保護」の観点から導入されます。
インサイダー取引の未然防止
M&Aの検討事実は、上場企業の株価に多大な影響を与える「未公表の重要事実」にあたります。
M&A担当部署が持つこの情報が、株式売買を行う部署(証券会社の自己売買部門や、資産運用会社のファンドマネージャーなど)に伝わってしまうと、インサイダー取引を誘発するリスクがあります。これを防ぐため、両部署の間にチャイニーズウォールを設け、情報を完全に遮断します。
利益相反の回避
総合的な金融グループや大規模なM&A仲介会社では、同じグループ内で「売り手企業の担当部署」と「買い手企業の担当部署」が同時に存在することがあります(利益相反の可能性)。それぞれの部署が顧客の利益を最大化するために動く際、互いの情報が筒抜けになってはいけません。こうしたケースでも、部署間に厳格なチャイニーズウォールを設け、それぞれの情報管理を徹底します。
注意点
システムと運用の両輪が必要
単にアクセス制限などのシステムを導入するだけでは不十分です。
「関係者以外には絶対に口外しない」「会議室のホワイトボードを消し忘れない」といった、従業員一人ひとりの高いコンプライアンス意識と、それを徹底するための継続的な研修・教育といった運用面が伴わなければ、壁は容易に機能不全に陥ります。
名称について
近年グローバルなビジネスの現場では、差別的なニュアンスを避けるため「チャイニーズウォール」ではなく、「インフォメーションバリア(情報障壁)」という表現が推奨される傾向にあります。