HHI(ハーフィンダール・ハーシュマン指数) (はーふぃんだーる・はーしゅまんしすう)
ある業界において、特定の企業がどれくらい市場を独占しているか(市場の集中度)を示す数値のことです。
計算方法は、業界内の各企業の市場シェア率(%)をそれぞれ2乗し、すべてを合計して求めます。例えば、1社が市場の100%を独占している場合のHHIは「100の2乗=10,000」となり、これが最大値です。逆に、数多くの企業が競争しシェアが細かく分散しているほど、数値はゼロに近づきます。
M&A実務において、同業他社同士が統合する水平型M&Aを行う際、公正取引委員会の独占禁止法に基づく審査(企業結合審査)でこの指標が用いられます。
英語表記
Herfindahl-Hirschman Index(HHI)
役割・実務での使われ方
「独占禁止法」に基づくM&Aストップリスクの事前予測
M&A実務において、特に同業他社同士が統合する水平型M&Aを行う際、公正取引委員会の企業結合審査をクリアできるかどうかを事前に判定する最も重要な指標として使われます。統合後のHHIの合計値や、M&Aによる数値の増加分(増分)をシミュレーションすることで、M&Aが独占禁止法に抵触して無効になるリスクがどの程度あるのかを客観的に予測します。
新規参入や業界調査における「競争環境」の分析
M&Aの企業結合審査に限らず、特定の業界へ新規事業として参入する際や、市場の魅力度を分析する際にも広く活用されます。「その市場が一部の大企業に支配されているか(寡占状態)」、あるいは「多くの企業が細かくシェアを奪い合っているか(競争状態)」を定量的に把握するためのマーケティング指標として機能します。
注意点
市場の画定(どこまでを同じ市場とするか)の難しさ
HHIを計算するためには、前提として「どの商品・サービスや、どの地域を同じ市場とみなすか」を明確に定義(市場の画定)する必要があります。例えば、同じ「飲料」でもお茶とジュースを分けるか、全国規模か特定の県のみかなど、市場の切り取り方によってHHIの数値は全く変わってしまうため、専門的な分析が必要です。
統合後の絶対値だけでなく増加分も重要
公正取引委員会の審査では、単に統合後のHHIが高いか低いかだけでなく、「今回のM&AによってHHIがどれくらい上昇したか」も厳しくチェックされます。
元々HHIが高い(すでに寡占化が進んでいる)業界の場合、シェアが低い企業を買収しただけでも審査のハードルに引っかかるリスクがあります。
審査の長期化に伴うディールブレイクのリスク
事前の計算でHHIの安全基準を満たさないと判明した場合、詳細な審査に移行し、結論が出るまでに数ヶ月以上の時間がかかることがあります。
その間に事業環境が変化したり、資金繰りが悪化したりして、M&Aのタイミングを逃し破談になる恐れがあるため、スケジュール管理に細心の注意が求められます。