みなし配当 (みなしはいとう)
会社法上は配当でなくても、実質的に株主への利益の分配とみなされ税務上は「配当」として課税されるものです。
典型例は、自己株式の取得や有償減資、解散時の残余財産の分配、非適格合併・非適格分割型分割など。
金額は「受け取った対価-資本等の払戻し相当額(資本金・資本剰余金に持株比率を掛けた額)」で考えるのが基本です。
スキーム次第で税負担が大きく変わるため、再編や株式買取の設計時は早めに税務確認を行いましょう。
英語表記
Deemed Dividend
役割・実務での使われ方
法人株主による「受取配当等の益金不入」を活用した節税スキーム
法人が株主である場合、受け取ったみなし配当は、通常の配当と同様に「受取配当等の益金不入」の対象となります。
これにより、株式を単純に第三者へ売却して「譲渡益」として課税されるよりも、会社に自己株式として買い取らせてみなし配当を発生させるほうが、法人税負担を大幅に軽減できるケースがあります。
事業承継における「自社株買い」を通じた納税資金の確保
オーナー経営者が引退や相続の際、保有する自社株を会社に買い取らせることがあります。
この時、受け取る代金のうち資本金等の額を超える部分はみなし配当となります。相続税の納税資金を確保する有効な手段ですが、個人株主の場合は「配当所得」として総合課税の対象となり、所得が高いほど税率が上がるため、事前のシミュレーションが不可欠です。
組織再編(非適格合併・分割)における税務調整
M&Aで「非適格」とされる合併や会社分割を行った際、株主に対して交付される財産が、対象会社の資本等の額を上回る場合にみなし配当が発生します。
スキームの設計ミスにより、予期せぬ多額の税負担が生じるリスクを回避するため、再編計画の初期段階から税務上の判定を行う重要な指標となります。
注意点
個人と法人で異なる「税率」の影響
個人株主の場合、みなし配当は最高税率が約55%にもなる「総合課税」となるリスクを内包しています。
一方、法人株主は益金不入のメリットを享受できるため、誰が株主かによって最適なスキームが正反対になる点に注意が必要です。
計算の複雑性と「源泉徴収」義務
みなし配当が発生する取引を行う会社側には、配当に対する源泉徴収を行う義務が生じます。
計算を誤ると、後から追徴課税を受ける可能性を潜在させているため、専門家による精緻な計算が必須です。
「譲渡所得」との混在
会社から受け取った金額のうち、すべてが配当になるわけではありません。
「資本の払い戻し部分(譲渡)」と「利益の分配部分(配当)」を切り分けて計算する必要があり、実務上の負担が大きくなります。