売上債権 (うりあげさいけん)
商品販売や役務提供を先に行い、後日代金を受け取る権利(例:売掛金・受取手形・電子記録債権)の総称です。
資金繰りと直結するため、回収サイト管理・与信管理と、売上債権回転率などの指標モニタリングが重要です。
M&Aでは運転資金や回収リスクの把握に不可欠です。
役割・実務での使われ方
M&Aの実務において、売上債権は単なる「未回収の代金」以上の意味を持ち、以下の3つの視点で分析されます。
運転資本(ワーキングキャピタル)の主要構成要素
事業を回すために必要な「立替金」の役割を果たします。「売上債権+在庫-仕入債務」で計算される運転資本は、M&A後の資金繰り予測や、買収価格の調整(運転資本調整方式)において重要な変数となります。
事業の「強さ」のバロメーター
売上債権の回収サイト(期間)が短いほど、その企業は顧客に対して強い交渉力を持っていると判断されます。
逆に、サイトが長期化している場合、立場が弱いか、資金繰りが悪化しやすい体質であると評価されます。
粉飾決算の「隠し場所」チェック
架空の売上を計上した場合、現金は入ってこないため、帳簿上は「売上債権」が異常に積み上がります。
デューデリジェンス(買収監査)では、回転期間の異常値や、滞留している債権がないかを厳しくチェックします。
注意点
「不良債権」の混入
何年も回収できていない債権が「資産」として計上され続けているケースが多々あります。
これらは実質価値ゼロ(損失)とみなされ、修正純資産の計算時に減額されます。
ファクタリングの利用有無
売上債権を売却して現金化(ファクタリング)している場合、決算書上の債権残高が少なくなります。一見、回収が早い優良企業に見えますが、実際は「高い手数料を払ってでも現金が欲しい(資金繰りが火の車)」である可能性があるため、注意が必要です。
循環取引(架空売上の手口)
グループ企業や結託した取引先同士で、商品の移動なしに請求書だけ回して売上を作る手口です。売上債権が不自然に増減していないか、実在しない取引先がないかの確認が必要です。