エンジェル税制 (えんじぇるぜいせい)
設立間もないスタートアップ企業(ベンチャー企業)への投資を促すための税制優遇制度です。
個人投資家が、一定の要件を満たす未上場企業の株式を購入した際、所得税の負担を軽減できます。
優遇措置は主に2つのタイミングで受けられます。
1.投資した時:投資額に応じて、その年の所得金額や他の株式売却益から一定額を差し引くことができます。
2.売却した時:もし売却時に損失が出た場合、他の株式売却益と相殺でき、控除しきれない分は翌年以降3年間にわたり繰り越し可能です。
この制度により投資家はリスクを抑えながら将来性のある企業を支援でき、企業側は資金調達がしやすくなるメリットがあります。
M&Aでは、将来のバイアウト(出口戦略)を見据えた初期投資を呼び込むための重要な呼び水となっています。
英語表記
Angel Tax System
役割・実務での使われ方
M&Aにおける役割(出口戦略の呼び水)
将来的なM&Aを目指すスタートアップにとって、エンジェル税制は初期の資金調達を円滑にする強力な武器になります。
投資家側の税負担が軽くなるため、資金調達のハードルが下がり、企業価値を高めるための軍資金を確保しやすくなります。
一般的な投資シーン
個人が「応援したい企業」を見つけ、投資を通じてその成長を支援する際に活用されます。
投資家にとっては、節税メリットを享受しながら将来の株価上昇(キャピタルゲイン)を狙えるため、投資ポートフォリオにおける攻めの選択肢として機能します。
注意点
企業と投資家の両方に「要件」がある
設立経過年数や研究開発費の割合など、企業側が制度対象として認定されている必要があります。
また、投資家側も「金銭による払込である」ことなど、細かい要件が設定されています。
事前の手続きが必要
企業側は都道府県や経済産業局からあらかじめ確認を受ける必要があり、投資後にも確定申告が必要です。
「後から使おう」と思っても適用できない場合があるため、投資前の確認が必須です。
M&A時の税務処理
M&Aで株式を売却する際、エンジェル税制で購入した株式の「取得価額」の計算が複雑になる場合があります。
売却時の手残り額に影響するため、税理士等の専門家への相談を推奨します。