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現物出資 (げんぶつしゅっし)

会社設立や増資の場面で、現金の代わりに不動産・機械・有価証券・特許などの資産を拠出し、対価として株式の交付を受ける方法です。
資本の適正を保つため、原則は裁判所選任の検査役による価額の調査が求められますが、上場株式を時価以下で出資する場合や少額(例:500万円以下)などには例外があります。なお、評価が出資額を下回れば差額を出資者が補う不足額填補責任に留意が必要です。M&Aでは資本政策や再編手段として用いられることもあります。

英語表記

Contribution in kind

役割・実務での使われ方

現物出資は単なる資金調達手段にとどまらず、M&Aや事業承継、企業再生の現場でも戦略的に活用されます。

M&Aにおける「事業基盤の移転」手段

買収対象会社が保有する特定の事業資産(工場、店舗、特許など)を切り出して、新設会社や買い手企業の既存子会社に現物出資させることで、事業の選択と集中やグループ内の組織再編を行う手法として利用されます。

企業再生手法としての「DES(デット・エクイティ・スワップ)」

経営難に陥った企業の債権者(金融機関など)が、持っている債権(貸付金など)を現物出資し、代わりにその企業の株式を取得する手法です。
広義の現物出資にあたり、対象企業は有利子負債を削減し、財務体質を改善することができます。

資金不足時の「会社設立・増資」手段

起業時や事業拡大時に必要な現金が不足していても、個人保有の不動産や法人が持つ有価証券などを活用して資本金を準備し、事業を開始・拡大するための手段として一般的に用いられます。

注意点

手続きの煩雑さと時間・コスト

原則として検査役の調査が必要となるため、現金出資に比べて手続きが複雑になり、完了までに時間(数週間~数ヶ月)と費用(弁護士費用など)がかかる傾向があります。例外規定の適用条件を慎重に確認する必要があります。

税務上の取り扱い(譲渡所得税など)

資産を現物出資した場合、その資産を「時価で譲渡した」とみなされ、含み益がある場合には出資者に譲渡所得税(法人税または所得税)が課税される可能性があります。適格要件を満たすことで課税を繰り延べられるケースもあるため、事前の専門家への相談が不可欠です。

不足額填補責任のリスク

前述の通り、資産価値が事後的に著しく下落した場合などに、出資者や取締役が差額を補填する責任を負うリスクがあります。
このリスクを回避するためにも、適正な資産評価が極めて重要となります。

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