中小企業金融円滑化法 (ちゅうしょうきぎょうきんゆうえんかつかほう)
リーマンショック後に中小企業の資金繰りを守るため、金融機関に返済条件の変更(返済猶予・元金据置・期間延長など)へ柔軟に対応することを求めた時限立法です。正式名称は「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律」で、2009年に施行され延長を経て2013年3月31日に終了しました。
終了後も金融庁は同趣旨の支援策を継続しています。M&Aでは再生局面のリスケ前提や資金計画の確認に直結するため、理解が欠かせません。
役割・実務での使われ方
再生型M&Aにおける前提条件の確認
業績不振企業のM&A(再生型M&A)を検討する際、対象企業がこの法律(または終了後の同措置)に基づいて「リスケジュール中」であるケースは少なくありません。これは対象企業が「約定通りの借入金返済が困難な財務状態にある」ことを意味します。買い手は、リスケの内容、金融機関との関係性、経営改善計画の進捗状況をデューデリジェンス(DD)で詳細に確認する必要があります。
金融機関との調整における共通言語
リスケ中の企業がM&Aを行う場合、通常は主要な債権者である金融機関の同意が不可欠です。
金融機関側は、この法律の背景にある「企業の再生支援」という方針に基づいて判断を行います。
M&Aのアドバイザーや当事者は、この法律の趣旨を理解した上で、金融機関に対して合理的な再生計画(M&Aによるスポンサー支援を含む)を提示し、交渉を進める必要があります。
「隠れ債務超過」や「実態収益力」の見極め
リスケによって表面上の資金繰りは回っていても、抜本的な収益改善が進んでいない「問題の先送り」状態の企業も存在します。
M&Aのバリュエーションにおいては、リスケがなかった場合の本来の返済負担を考慮した「実態収益力」や、資産の実態価値を精査した「実質的な純資産額」を見極めるための重要な手掛かりとなります。
注意点
「法律終了=支援終了」ではない
2013年3月に法律は期限を迎えましたが、金融庁はその後も金融機関に対し、貸付条件の変更等に柔軟に対応する姿勢を維持するよう監督指針等で求めています。
形式的に法律がなくなったからといって、金融機関の対応が急変したわけではない点に留意が必要です。
あくまで一時的な措置
金融円滑化法に基づくリスケは、あくまで資金繰りの「時間的猶予」を与えたに過ぎません。
抜本的な事業再生(収益構造の改善や過剰債務の解消)が行われなければ、根本的な解決にはならないという認識が不可欠です。