補償条項 (ほしょうじょうこう)
M&Aの契約で、相手方の表明保証違反・契約違反や特定リスクが顕在化した際に、損害賠償又は填補を求めることを認める規定です。
過失が認められなくても賠償義務を負うと定められていますが、一定額に達しなければ補償されなかったり、
補償金額に上限があったりする場合もあるので留意が必要です。
英語表記
Indemnification Clause
役割・実務での使われ方
M&A譲渡後のトラブルを解決する「リスク分配」の最終防衛ライン
補償条項は、デューデリジェンス(DD)で発見できなかった潜在的なリスクや、DDで発見されたものの譲渡実行時までに解消できないリスク(特定補償事項)を、売り手と買い手のどちらが背負うかを決める最終的な調整手段です。通常、譲渡後に発生した簿外債務や税務上の不備、法的な訴訟リスクなどは、この条項に基づき売り手が買い手に対して金銭的な補償を行うことで取引の公平性を保ちます。
表明保証の「実効性」を担保する強制力
契約書に「正しい状態であることを保証する(表明保証)」と記載があっても、違反時のペナルティがなければ実効性が伴いません。
補償条項を設けることで、違反があった場合には過失の有無にかかわらず損害を填補する法的義務を課すことができます。
これにより買い手は安心して買収対価を支払うことができ、売り手には正確な情報開示を促す心理的な抑止力が働きます。
注意点
補償の制限
実務上は、補償金額の上限や、一定額以上の損害にならない限り請求できない免責基準が設定されることが大半です。
無制限に補償を求められるわけではない点に留意が必要です。
期間の限定
補償を請求できる期間(一般的に1〜2年、税務関連は時効まで等)には期限があります。
期限を過ぎると、たとえ重大な違反が見つかっても補償を求められなくなります。
売り手の支払い能力
補償義務があっても、売り手が売却代金を使い切っていたり会社が解散していたりする場合、現実的な回収が困難になります。
これを回避するために、代金の一部を一定期間供託するエスクローなどの活用が検討されます。