黒字倒産 (くろじとうさん)
損益上は黒字でも手元資金が足りず支払いが滞り、倒産に至ることを指します。
主因は、売掛金の未回収や入出金サイトのズレ、過剰在庫・過大投資で現金が滞留すること、返済や納税が重なることなどが挙げられます。
予防策は、資金繰り表とキャッシュフロー管理の徹底、回収・支払条件の見直し、在庫圧縮・与信管理、早期の資金調達体制づくりです。
事業承継やM&Aで外部の資本力を取り込む選択肢もあります。
役割・実務での使われ方
M&Aや再生実務において、黒字倒産は「PL(損益計算書)とBS(貸借対照表)・CF(キャッシュフロー)の乖離」を理解するための最重要概念です。
「駆け込み型M&A」の主要因
業績は好調なのに、急な大型受注や仕入高騰で資金ショート寸前となり、買い手を探すケースです。
この場合、企業価値(営業権)はあるものの時間切れのリスクが高いため、スピード重視の取引が求められます。
DD(買収監査)での重点チェック項目
買い手は「利益が出ている」という事実だけで安心せず、「その利益はいつ現金化されるのか(回収サイト)」、「在庫が資金を圧迫していないか」を厳しくチェックします。
見せかけの利益ではなく「キャッシュを生み出す力(FCF)」を評価するためです。
与信管理の警鐘
取引先が「増収増益」と発表していても、実は無理な販売拡大で売掛金回収が追いついていない可能性があります。
帝国データバンク等の評点だけでなく、現預金の推移を見る必要があります。
注意点
勘定合って銭足らず
古くからの格言通り、会計上の利益と手元のキャッシュは一致しません。
特に「棚卸資産(在庫)」は、売れるまでは単なる「現金の塊」であり、過剰在庫は資金繰りを圧迫する最大の要因です。
税金の支払いは「現金」
黒字であれば、当然ながら法人税等の支払い義務が発生します。「利益はあるが現金がない」状態でも納税期限は待ってくれません。
納税資金の確保漏れがトドメを刺すケースも多々あります。