用語集

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レピュテーションリスク (れぴゅてーしょんりすく)

企業に対する否定的な評判やイメージが広まることで、企業の信用やブランド価値が低下し、経営に損失をもたらすリスクのことです。M&A実務においては、事前のデューデリジェンス(DD)で法務や事業面だけでなく、SNS等の評判まで徹底的に調査し、リスクの有無を正当に評価することが不可欠です。

英語表記

Reputation Risk

役割・実務での使われ方

買収価格の妥当性検証と価格調整の根拠

M&A実務において、デューデリジェンス(DD)で判明した対象企業のリスク(不祥事、労働問題、SNSでの過去の炎上など)が、将来の顧客離れや売上減少につながると判断された場合、それは企業価値(バリュエーション)を低下させる要因となります。買い手はこれを根拠に買収価格の引き下げ(価格調整)を要求したり、最終契約書でリスクを売り手に負わせる条項を盛り込んだりします。

デューデリジェンス(DD)における重点調査とリスク評価

法務、事業のDDにおいて、過去の不祥事、法令違反、ハラスメントなどの労働問題だけでなく、SNSやネット上での評判(レピュテーション)まで徹底的に調査し、潜在的なリスクの有無を評価します。買収後に予期せぬリスクが発覚し、買い手企業のブランドまで傷つくのを防ぐために重要となります。

買収後のPMI(経営統合)とガバナンス強化の羅針盤

M&A成立後、潜在的なレピュテーションリスクがある、または統合後にリスクが発生する可能性がある場合、買い手はPMIプロセスにおいてコンプライアンス体制の再構築、企業文化の刷新、広報体制の強化(クライシスマネジメント)などを重点テーマとして取り組みます。これにより信用回復とブランド価値の再構築を図り、M&Aの成功を確実なものにします。

注意点

目に見えない「のれん」への致命的なダメージ

レピュテーションリスクが現実化すると、企業の「ブランド力」や「顧客の信頼」といった目に見えない資産(のれん)が激減します。
これが、買収した事業の価値が急低下する「のれんの減損損失」を招き、グループ全体の最終利益を大きく圧迫する点に注意が必要です。

SNSによる「拡散の速さと不可逆性」

現代において、レピュテーションリスクはSNSによって瞬時に拡散し、取り返しのつかない事態(不可逆的な信用失墜)になりがちです。
過去の小さな問題や労働問題が買収をきっかけに再燃するリスクもあり、事前の調査ではSNS等のWeb評判調査も不可欠です。

「買い手企業」への波及効果

問題のある企業を買収した、というだけで「買い手企業」のイメージも悪化(株価下落、優秀な人材の流出など)する可能性があります。
対象企業のリスクを正当に評価し、それを上回る買収メリットがあるか、またはリスクをコントロール可能かを慎重に判断することが求められます。

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