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サイズプレミアム (さいずぷれみあむ)

企業価値を評価する際、対象企業が小規模であることによる追加リスクを反映させるための「上乗せ利回り(割引率)」のことです。
小規模リスクプレミアムともいいます。一般的に、中小企業は大企業と比べ、経営基盤や資金力が弱く、業績が変動しやすい傾向があります。
そのため買い手(投資家)は、その高いリスクを引き受ける対価として、通常よりも高いリターンを求めます。実務(DCF法など)では、基本となる割引率にこのサイズプレミアムを数%上乗せして計算します。割引率(リスク)が高く見積もられるため、結果として現在の企業価値は低く算出されます。

英語表記

Size Premium

役割・実務での使われ方

サイズプレミアムは、大企業のデータを用いて中小企業を評価する際の「歪み」を補正する重要な役割を持ちます。

DCF法における「割引率」の補正

企業価値評価の実務では、割引率のベースとして上場企業のデータを用いることが一般的です。
しかし、そのまま中小企業に当てはめるとリスクを低く見積もりすぎ=企業価値が高くなりすぎてしまいます。
そこで、サイズプレミアムを加算してリスク水準を補正します。

高値掴みを防ぐ「保守的な見積もり」

買い手企業にとっては、未知の事業リスクを評価額に織り込むための安全弁として機能します。
サイズプレミアムを適切に設定することで、将来の業績変動リスクをカバーし、買収における「高値掴み(払い過ぎ)」を防ぐことができます。

売り手への「価格妥当性」の論理的な説明

売り手オーナーから「なぜ同業の上場企業と比べて、うちの会社の評価倍率が低いのか」と問われた際、「小規模ゆえの事業リスク(サイズプレミアム)が考慮されるため」と、客観的かつ論理的に説明するための根拠の一つとなりえます。

注意点

「非上場ディスカウント」との混同に注意

サイズプレミアムは「小規模であることの事業リスク」に対する補正ですが、よく似た用語に非上場ディスカウント(流動性ディスカウント)があります。
こちらは「上場しておらず、株式をすぐに換金できないリスク」に対する補正です。両者は異なる概念であり、未上場の中小企業を評価する際は両方が二重に考慮されることもあります。

客観的な算定が難しく、交渉の焦点になりやすい

サイズプレミアムを「具体的に何%上乗せするか」には、評価者の主観が入りやすくなります。
買い手はリスクを恐れて高めに設定し(安く買いたい)、売り手は低めに設定したい(高く売りたい)というバイアスがかかるため、M&Aの価格交渉において議論の焦点になりやすいパラメーターです。

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