相対方式 (あいたいほうしき)
M&Aの進行方法の一つで、売り手が買い手候補と1社ずつ個別交渉を進め、条件が整えば売買契約を締結するやり方です。
オークション方式より機密性とスピードに優れやすい一方、競争性が弱く価格が伸びにくい傾向があります。
役割・実務での使われ方
プロセス
売り手は「この会社となら良いシナジーが生まれそうだ」と見込んだ相手に絞ってアプローチし秘密保持契約を結んだ上で、具体的な情報開示と深い交渉を行います。
もしその相手と交渉が破談になった場合は、また別の候補とイチから交渉を始めることになります(順番に交渉していくイメージです)。
メリットとデメリット
同時に多数の買い手候補に入札させるオークション方式と比較して、以下の特徴があります。
メリット:機密性とスピード
・交渉相手が限定されるため、M&Aを検討している事実が外部(従業員や取引先など)に漏れるリスク(情報漏洩リスク)を最小限に抑えられます。
・相手が1社であるため意思決定が早く、柔軟な条件交渉が進めやすい利点があります。信頼関係も構築しやすいのが特徴です。
デメリット:競争性と価格
・複数の買い手同士で競争(競り合い)が起きないため、オークション方式に比べて、売却価格が最高値まで伸びにくい傾向があります。
注意点
競争原理が働かないことによる「買収条件の妥協」
オークション方式のように「他に高い値段をつけている会社がある」といった、他社の存在を材料にした交渉ができません。
そのため、買い手から提示された価格が妥当かどうかの判断が難しく、場合によっては相場より低い価格や不利な条件で合意してしまうリスクがあります。
事前のしっかりとした価値算定(バリュエーション)が重要です。
交渉破談時の「時間的ロス」と「機会損失」
1社と深い交渉を行うため、数ヶ月かけた交渉が最終局面で破談となった場合、その期間が大きな時間的ロスとなります。
その間に、他の有力な買い手候補が別の案件に流れてしまったり、市場環境が悪化して売却のタイミングを逃したりする「機会損失」のリスクを伴います。
最初の1社目の選定が非常に重要になります。