用語集

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資産除去債務 (しさんじょきょさいむ)

建物や設備などの有形固定資産の使用を終え、解体・撤去する際に発生することが法令や契約で義務付けられている「将来の費用」のことです。
M&A実務において、この資産除去債務が決算書に正しく計上されていないケース(簿外債務)は少なくありません。買収後に想定外の巨額な撤去費用が発覚し、買い手が損失を被るリスクがあるため、買収監査(デューデリジェンス(DD))で必ずチェックすべき重要な項目として知られています。

英語表記

Asset Retirement Obligations(ARO)

役割・実務での使われ方

M&A実務における影響

買収価格(株式譲渡の対価)を決定する際の「マイナス調整項目」となりえます。財務デューデリジェンス(財務DD)を通じて未計上の資産除去債務が発覚した場合、買い手はその見積額を買収価格から減額するよう交渉するのが一般的です。対象企業が多店舗展開している飲食店や、老朽化した自社工場を持っている製造業などのM&Aにおいて、特に重要なチェック項目となります。

その他の一般的な使われ方

会計の世界において、企業が将来負担すべきコスト(キャッシュアウトフロー)をあらかじめ財務諸表に反映させ、株主や銀行などの利害関係者に対して会社の「本当の財政状態」を正しく報告するために用いられます。

注意点

中小企業では「未計上」のケースが非常に多い

上場企業等では資産除去債務の計上が厳格に義務付けられていますが、中小企業で用いられる会計基準では厳密な計上が求められないことも多く、決算書上は簿外債務になっているケースが多々あります。決算書だけを見て判断せず、実態を調査することが必須です。

見積もり金額と実際の費用がずれるリスク

数年後、数十年後の撤去費用を現在に見積もるため、将来の物価上昇(インフレ)、人件費の高騰、環境規制の強化などにより、実際に撤去する際にかかる費用が見積額を大きく上回るリスクがあります。

賃貸借契約書の精読が不可欠

オフィスや店舗の原状回復費用を把握するには、「どこまで元の状態に戻す義務があるのか(スケルトン戻しなど)」を定めた賃貸借契約書の内容を、法務・財務の両面から入念に確認する必要があります。

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