用語集

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総合課税 (そうごうかぜい)

個人の1年間(1月〜12月)に生じた様々な種類の所得(給与、事業、不動産など)をすべて合算し、その合計額に対して税金を計算する制度のことです。
最大の特徴は「累進課税」が適用される点です。合算した所得が多いほど税率は段階的に上がり、住民税と合わせると最大で約55%の高い税金が課されます。対義語は、他の所得と切り離して一定の税率をかける「分離課税」です。中小企業M&Aで一般的な株式譲渡で得た利益は「分離課税」となり、税率は約20%で済みます。しかし、個人事業主による「事業譲渡」や、役員慰労金などの受け取り方によっては「総合課税」の対象となり、利益の半分以上が税金で引かれてしまうケースもあるため、M&Aの手法選びの段階から税務シミュレーションを行うことが不可欠です。

英語表記

Comprehensive Taxation

役割・実務での使われ方

M&Aスキーム(手法)選定時の「手取り額」シミュレーション

M&A実務において、売り手の手元に残る最終的なキャッシュ(手取り額・エグジット額)を最大化するため、どの手法を選ぶべきかを判断する重要な前提知識となります。法人の「株式譲渡分離課税で約20%)」を選ぶか、個人事業主の「事業譲渡(譲渡資産によって所得区分が異なり総合課税で最大約55%)」を選ぶかによって税負担が劇的に変わるため、初期段階での手取り額シミュレーションの基準として用いられます。

「役員退職慰労金」との組み合わせによる節税設計

M&Aの際、株式の売却益だけで利益を得るのではなく、対象企業からオーナーへ役員退職慰労金(退職金)を支給してエグジットするケースが頻繁に見られます。退職所得は総合課税の対象外(分離課税)となり、非常に有利な税率が適用されるため、株式譲渡と退職金をどのようなバランスで組み合わせれば最も税金が安くなるかを比較・設計する際に活用されます。

注意点

所得が高くなるほど税負担が重くなる「累進課税の罠」

総合課税は、給与や不動産所得など他の所得とすべて合算され、金額が大きくなるほど税率が段階的に上がる「累進課税(所得税と住民税を合わせて最大約55%)」が適用されます。M&Aによって得た多額の利益が総合課税の対象となってしまうと、利益の半分以上が税金として消えてしまう重大なリスクがあるため、実行前の税理士等への相談が不可欠です。

個人事業主の「事業譲渡」における高額な納税リスク

法人のM&Aでは分離課税(約20%)となる株式譲渡が主流ですが、個人事業主が店舗や事業を売却(事業譲渡)する場合、譲渡対象資産によって所得区分が異なり、売却益に対して、課税がなされます。営業権は総合課税の対象となります。売却した翌年に想定以上の高額な所得税・住民税が課されるため、手元に多額の納税資金を残しておくといった厳密な資金繰り対策が求められます。

買収後の「役員報酬」設定時の税負担

M&A成立後、売り手社長が顧問や役員として会社に残り、高額な役員報酬(給与所得)を受け取る場合も、総合課税の対象として高い税率が適用されます。株式の売却益(分離課税で約20%)として受け取る場合と比較して手元に残る金額が大幅に減る可能性があるため、報酬の設定額には注意が必要です。

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