負債コスト (ふさいこすと)
企業が資金を調達する際、銀行などからの「借金」に対して支払う費用のことです。
最も身近な例は、銀行借入の金利(利息)や、社債を発行する場合の金利と発行費用などです。このコストには、実務上極めて重要な税効果と呼ばれる特徴があります。企業が支払う利息は、税務上で費用として認められるため、その分だけ課税対象となる利益が減り、法人税などの税金が安くなる効果があります。株式発行による資金調達コスト(株主資本コスト)に比べて一般的に低いのが特徴で、M&Aにおいては企業価値を評価する際や、買収資金の調達コストを検討する上で不可欠な指標となります。
英語表記
Cost of Debt
役割・実務での使われ方
負債コストは、M&Aにおける「価格の妥当性」と「買収資金調達の最適化」の判断材料となります。
企業価値評価(バリュエーション)の最重要パーツ
DCF法で企業価値を計算する際、将来生み出す利益を現在の価値に直すための割引率(WACC)を構成する重要な要素です。
負債コストが低い企業ほどWACCが低くなり、算出される企業価値は高くなる傾向があります。
買収資金調達(ファイナンス)の検討指標
M&A資金を調達する際、「金利は安いが返済義務がある銀行借入(負債)」と、「返済義務はないが実質コストが高い株式発行」のどちらを活用するか、最適なバランス(資本構成)を検討する際の比較指標として使われます。
LBO(レバレッジド・バイアウト)の成立可否
買収対象企業の資産や将来のキャッシュフローを担保に借入を行い、少ない手元資金でM&Aを行うLBO手法において、負債コスト(金利)の低さは取引の成立可否を左右する決定的な要因となります。
注意点
「税効果」を考慮した実質コストで考えること
実務においては、表面金利ではなく、必ず法人税率を考慮した後の「税引き後負債コスト」で計算する必要があります。
これを忘れると、企業価値を過小評価してしまうことになります。
負債は返済義務があるため、過度な依存は危険
株主資本コストに比べて安いからといって過剰に負債に依存したM&Aや経営を行うと、返済負担が重くなり倒産リスクを高める可能性があります。