フリーキャッシュフロー(FCF) (ふりーきゃっしゅふろー)
事業が稼ぎ出し自由に使える現金のことです。借入返済・配当・追加投資・買収の原資となり、継続的にプラスかが経営体力の目安です。
このフリーキャッシュフローが多いほど、一般的に企業の財務内容は健全であり、企業価値も高いと評価されます。
M&Aにおいても、買い手の支払余力やDCF法による企業価値評価の中核となる重要指標です。成長投資で一時的にマイナスでも妥当な場合があります。
【基本式】FCF=営業キャッシュフロー+投資キャッシュフロー
あるいは、税引後営業利益に減価償却費を足し、運転資本の増減と設備投資を調整して算出
英語表記
Free Cash Flow / FCF
役割・実務での使われ方
M&Aや財務戦略において、フリーキャッシュフロー(FCF)は以下の3つの視点で極めて重要視されます。
企業価値評価(バリュエーション)の基礎
M&Aの譲渡価格を決める代表的な手法である「DCF法(ディスカウント・キャッシュフロー法)」は、FCFが将来どれだけ生み出されるかを予測し、現在の価値に割り引いて計算します。つまり、「将来のFCF予測額=会社の値段」に直結します。
借入金の返済原資(LBOローンの審査基準)
買収資金を銀行から借り入れる場合(LBOなど)、銀行は「この会社は買収後に借金を返せるか?」を審査します。
その際、返済原資として見られるのは「会計上の利益」ではなく、現金の裏付けがある「FCF」です。
株主還元と成長投資の源泉
配当金を出したり、次のM&Aを行ったりするための「手元資金」がどれだけあるかを示す、経営の自由度を測るバロメーターです。
注意点
「FCFマイナス」=「悪」とは限らない
スタートアップや急成長企業では、将来の大きなリターンのために先行投資(巨額の設備投資やマーケティング)を行うため、FCFが一時的にマイナスになることがよくあります。重要なのは「計画的なマイナスか、資金繰りの悪化によるマイナスか」の見極めです。
2種類の定義(FCFFとFCFE)
専門的なM&A実務では、以下の2つを使い分けます。
FCFF(Firm): 債権者と株主全体に帰属するCF(企業価値評価で主に使用)
FCFE(Equity): 株主のみに帰属するCF(配当可能原資などの確認に使用)
粉飾決算を見抜くカギ
損益計算書(PL)上の「利益」は会計操作で作れても、現金の動き(CS)である「FCF」は誤魔化しがききません。
「利益はずっと出ているのにFCFが万年マイナス」という会社は、在庫の水増しや架空売上の計上など、粉飾のリスクが疑われます。