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暦年贈与 (れきねんぞうよ)

1月1日から12月31日までの1年間(暦年)に受け取った財産に対し、年間110万円の「基礎控除(非課税枠)」を活用して生前贈与を行う手法です。
もらう側1人につき年間110万円までなら贈与税がかかりません。M&Aや事業承継の実務において、オーナー経営者が自社株や現金を後継者・家族へ計画的に移転し、将来の相続税負担を軽減するための有効な対策として活用されます。

英語表記

Gift tax

役割・実務での使われ方

中長期的な「自社株の分散承継」と議決権のコントロール

事業承継の実務において、一度に大量の自社株を後継者に譲渡すると多額の贈与税が発生します。暦年贈与を活用し、110万円の非課税枠の範囲内で、あるいは低率な贈与税負担に抑える範囲で毎年計画的に自社株を移転させることで、数年〜十数年かけて税負担を最小限に抑えながら後継者への議決権集約を進める役割を果たします。

相続財産の圧縮による「将来の相続税負担」の軽減

オーナー経営者の個人資産(現預金や自社株など)を早期に次世代へ移転させることで、将来発生する相続時の課税対象額を直接的に減少させる「資産圧縮」の手段として用いられます。特に、今後業績拡大が見込まれ自社株の評価額(株価)が上がると予想される場合、株価が低いうちに贈与を開始することで、将来の上昇分に対する課税を回避する効果があります。

納税資金の準備と「争族」の防止

後継者や家族に対して毎年現金を贈与することで、将来の相続発生時に必要となる相続税の「納税資金」をあらかじめ準備させる役割を持ちます。
また、特定の親族だけでなく複数の相続人にバランスよく資産を分配しておくことで、M&Aや承継後の親族間トラブル(遺留分を巡る争いなど)を未然に防ぐための生前対策としても機能します。

注意点

「定期贈与」とみなされるリスクへの対策

毎年決まった時期に同額を渡し続けると「最初から多額を渡す約束(定期贈与)」とみなされ、合算額に課税される恐れがあります。これを避けるため、毎年異なる時期・金額にしたり、都度「贈与契約書」を締結して確定日付を取得したりするなど、個別独立した贈与であることを客観的に証明する準備が必要です。

「名義預金」と判定されないための管理

通帳や印鑑をオーナー本人が管理している場合、実態として贈与が成立していない「名義預金」とみなされ、相続時に全額が相続財産に戻されるリスクがあります。
受贈者(もらう側)が自由に使える状態で管理することが大前提です。

税制改正による「7年持ち戻しルール」の適用

2024年の税制改正により、相続開始前の贈与を相続財産に加算する期間が従来の3年から「7年」へと段階的に延長されています。
亡くなる直前の駆け込み贈与は節税効果が薄くなるため、より健康で若いうちからの、超長期的な視点での実行が不可欠となっています。

自社株評価の変動リスク

自社株を贈与する場合、その時点の株価評価に基づいて贈与税額が決まります。
M&Aの検討や業績変動によって株価が急騰する前に実行するなど、専門家による毎期正確な株価算定とタイミングの計り方が重要です。

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