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実質破綻先 (じっしつはたんさき)

法的な倒産手続き(破産、民事再生など)は開始していないものの、実態としては深刻な経営難に陥っており自力での再建の見通しが立たない企業のことを指します。
金融機関の債務者区分(正常先~破綻先)のうち厳しい区分の一つで、与信管理や引当強化の対象です。

役割・実務での使われ方

金融機関における最も厳しい区分の一つ

金融機関は債務者を「正常先」「要注意先」「破綻懸念先」「実質破綻先」「破綻先」の5つに分類します。
「実質破綻先」は、すでに法的に倒産している「破綻先」と同等の扱いを受ける、最もリスクが高い区分です。
金融機関は、貸出金の大半が回収不能になると見込み、多額の貸倒引当金を計上して備える必要があります。

再生型M&Aのターゲット

実質破綻先に分類される企業は、通常のM&A(成長戦略型)の対象にはなりにくいですが、再生型M&Aの対象となります。
スポンサー企業が資金や経営ノウハウを注入し、金融機関と調整して債務免除や返済計画の見直しを行うことで、事業の存続と再生を目指すケースが多く見られます。

注意点

M&Aの買い手候補として実質破綻先を検討する場合、通常よりも極めて慎重な対応が求められます。

潜在的なリスクの塊(簿外債務など)

財務諸表に表れていない簿外債務(未払残業代、社会保険料の滞納、偶発債務など)が隠れている可能性が非常に高いです。
徹底的なデューデリジェンス(買収監査)が不可欠ですが、それでも全てのリスクを洗い出すことは困難です。

ステークホルダーとの複雑な利害調整

M&Aを進めるにはメインバンクをはじめとする複数の金融機関、取引先、場合によっては労働組合など、利害が対立しやすい多数の関係者との高度な調整が必要となります。

事業劣化のスピード

すでに経営が危機的状況にあるためM&Aの検討中にも資金繰りがショートしたり、主要な取引先や従業員が離反したりして、事業価値が急速に毀損するリスクと隣り合わせです。スピード感を持った意思決定と実行が求められます。

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