無税償却 (むぜいしょうきゃく)
回収が見込めない貸付債権などの損失を税務上の損金に算入し、課税負担なく処理することです。金融機関の不良債権処理で用いられます。
方法は、債権放棄・売却・法的整理などで一気に処理する「直接償却」と、貸倒引当金を使う「間接償却」に大別されます。
会計上は費用でも税務上は損金不算入となる「有税償却」とは異なり、税効果を伴うのが特徴。
M&Aや事業再生の局面では、サービサー(債権回収会社)への債権売却と組み合わせて活用されることがあります。
英語表記
Tax-free Write-off
役割・実務での使われ方
金融機関による円滑な債権放棄と、借り手企業の再生支援
金融機関が主導する事業再生局面において、金融機関が「無税償却」の要件を満たす形で借り手企業(売り手企業)の債権を放棄することがあります。
これにより金融機関は不良債権処理に伴う税効果を確実に得ることができ、一方の借り手企業は債務の全額もしくは一部の免除を受けやすくなり、借入金を削減して財務体質を抜本的に改善できることになります。
注意点
要件の厳格性とリーガル・税務リスク
税務上の「損金」として認められるための要件は非常に厳格です(特に直接償却における貸倒損失の認定)。単に「回収が難しそう」という主観的な判断では認められず、法的な整理手続きや、客観的な証拠に基づく認定が必要です。もし税務調査で否認された場合、過去に遡って追加の税金や延滞税が課される重大なリスクがあるため、弁護士や税理士等の専門家と緊密に連携する必要があります。
(売り手企業側)「債務免除益」への課税リスク
債権者(金融機関)が「無税償却」で処理したとしても、債務者(売り手企業)側では、免除された債務の額が「債務免除益」として利益に計上され、原則として課税対象となります。事業再生局面では、この債務免除益と過去の赤字(繰越欠損金)を相殺して課税を回避するといった高度な税務スキームが必要になる点に注意が必要です。