連帯保証 (れんたいほしょう)
主たる債務者と同じ責任で返済を約束する保証のことです。通常の保証と異なり、債権者は債務者の不履行を待たずに保証人へ直接・全額の請求ができます。
中小企業の借入では、代表者が連帯保証人となっているケースが一般的です。
M&Aでは、売主個人の保証が残ると大きなリスクになるため、クロージングまでに「解除」「買主への付替え」「代替担保への切替」を金融機関と調整します。
実効性を高めるため、契約上は解除を条件化したり、解除完了まで譲渡対価の一部を留保する等の手当ても検討します。
役割・実務での使われ方
中小企業における「経営者保証」の実態
日本の中小企業が金融機関から事業資金を借り入れる際、会社の代表者が個人として連帯保証人になるケースが非常に一般的です。
これを実務上「経営者保証」や「代表者保証」と呼びます。会社が借入を返済できなくなった場合、代表者個人が私財を投げ打ってでも返済する義務を負います。
M&Aにおける最大の懸案事項の一つ
M&A(株式譲渡など)で会社を第三者に売却する場合、この「売り手経営者個人の連帯保証」をどう処理するかが極めて重要な課題となります。 もし保証がそのまま残れば、売り手は会社を手放した後も、自分とは無関係になった会社の莫大な借金を個人的に保証し続けることになり、安心して引退することができません。これは売り手にとって到底受け入れられないリスクです。
M&A実務での具体的な対応策
M&Aのプロセスでは、最終的な取引完了(クロージング)までに、この連帯保証を外すための調整を金融機関と行います。主な方法は以下の3つです。
解除 : 会社の業績や買い手の信用力を背景に、保証そのものを外してもらう理想的な形。
買主への付替え(差し替え): 売り手個人の保証を外し、代わりに「買い手企業」または「買い手側の新代表者」が連帯保証人となる。
代替担保への切替 : 不動産などの担保を別途差し入れることで、人的な保証を外す。
実効性を高めるため、最終契約書(株式譲渡契約書など)において、「連帯保証の解除が完了すること」をクロージングの前提条件(CP)としたり、万が一に備えて譲渡対価の一部を一時的に預かる「留保」(エスクロー)の措置を講じたりする手当ても検討されます。
注意点
通常の保証人との決定的な違い(責任の重さ)
連帯保証人は、通常の保証人よりもはるかに重い責任を負います。具体的には、以下の2つの権利が認められていません。
催告の抗弁権なし : 債権者(銀行など)から請求された際、「まずは主債務者(会社)に請求してください」と主張できません。いきなり保証人に全額請求されても拒否できません。
検索の抗弁権なし : 「会社にはまだ処分できる財産があるから、先にそちらを差し押さえてください」と主張できません。
金融機関の承諾が必須
M&Aで経営者が変わるからといって自動的に連帯保証が外れるわけではありません。必ず債権者である金融機関の審査と承諾が必要です。
調整には時間がかかることもあるため、早めの行動が肝心です。