ROA(総資産利益率) (あーるおーえー / じゅんしさんりえきりつ)
企業が保有する総資産をどれだけ効率よく利益に変えているかを示す指標です。資本構成の影響を受けにくく、会社全体の稼ぐ力を比較できます。
業種差が大きいため同業比較が基本で、ROE(自己資本利益率)と併せて確認します。M&Aの企業評価にも活用します。
【計算式】ROA(%)=当期純利益÷総資産
英語表記
Return On Asset
役割・実務での使われ方
M&Aにおける対象企業の「基礎収益力」の評価
買い手企業が対象会社を評価する際、調達源泉(借入金か自己資本か)を問わず、「事業に投下されている全資産をいかに効率よく運用できているか」を見極めるために使用します。ROAが高い企業は、保有する設備や在庫などの資産を無駄なく活用し、高い収益を上げている「質の高い経営」が行われていると判断され、ポジティブな評価につながります。
ROEと組み合わせた「財務リスク」の分析
ROE(自己資本利益率)が高くてもROAが低い場合、その企業は多額の借入金(他人資本)を活用して利益を上げている(財務レバレッジを効かせている)可能性があります。M&Aでは、買収後の財務安定性を見極めるため、ROEとROAのギャップを確認し、過度な負債依存体質でないかをチェックします。
PMIにおける資産効率化の指標
M&A成立後(PMIフェーズ)においては、両社の重複する設備や拠点を統廃合したり、遊休資産を売却したりすることで「総資産(分母)」をスリム化し、同時にシナジー効果で「利益(分子)」を拡大させることで、ROAを向上させることが重要な経営目標となります。
注意点
業種による水準差が大きい
製造業やインフラ産業のように巨額の設備投資が必要な「装置産業」は、総資産が大きくなるためROAが低くなる傾向があります。
一方、IT企業などは高くなりやすいです。比較する際は必ず同業他社や業界平均と比べることが重要です。
計算に用いる「利益」の定義
一般的には「当期純利益」を使いますが、本業の収益力をよりダイレクトに見るために「営業利益」や「経常利益」を分子に用いるケースもあります。
どの利益を使って計算された数値かを確認する必要があります。