ROE(自己資本利益率) (あーるおーいー)
株主から預かった資本をどれだけ効率よく利益に変えたかを示す指標です。
負債の多寡で数値が動きやすいため、ROAや自己資本比率と併せて収益性と安全性のバランスを確認し、同業他社との比較で評価することをおすすめします。
【計算式】ROE(%)=当期純利益÷自己資本×100
英語表記
Return on Equity
役割・実務での使われ方
投資家や買い手による「資本効率」の客観的評価
M&A実務において、買い手企業や投資ファンドが「対象企業が株主のお金をどれだけ無駄なく使って利益を生み出しているか」を見極めるための最重要指標の一つとして用いられます。ROEが高い企業は「少ない元手で効率よく稼ぐ力がある優良企業」と評価され、買収ターゲットとして選ばれやすくなります。
バリュエーション(企業価値算定)における価格の正当化
上場企業のM&Aや株式評価において、ROEは「PBR(株価純資産倍率)」と密接に連動します。ROEが継続的に高い企業は、将来の成長性が高く評価されるため、純資産以上の価値(のれん代・買収プレミアム)を上乗せして高く買収する際の合理的な根拠として機能します。
買収後(PMI)の経営目標・KPIの設定
M&A成立後、買い手が対象企業の経営陣に対して求める「利益目標(KPI)」として設定されることが多くあります。
「ただ売上を伸ばすだけでなく、資本効率を意識した経営を行ってほしい」という親会社からのメッセージとして実務上広く活用されます。
注意点
「負債が多いほどROEが高くなる」という罠
ROEの計算式(純利益÷自己資本)の性質上、多額の借金をして負債を増やし、相対的に自己資本(分母)を小さくすれば、利益が同じでもROEの数値は人工的に跳ね上がります。ROEが高いからといって飛びつくと、実は借金まみれで倒産リスクが高い企業だった、という危険性があるため、必ず「自己資本比率」や「ROA」とセットで安全性を確認する必要があります。
一時的な特別利益による数値のブレ
計算に使われる「当期純利益」には、不動産の売却益などの一時的な特別利益や特別損失が含まれます。
そのため、たまたまその年だけROEが高く(低く)出ている可能性がある点に注意し、単年度だけでなく過去3〜5年程度の推移を見ることが不可欠です。
業界ごとの水準の違い
工場や大型設備が必要な製造業は分母となる資本が大きくなりやすいためROEが低く出がちですが、IT企業やコンサルティング業などのソフトウェア・サービス業は少ない資本で運営できるためROEが高くなりやすい傾向があります。そのため、全く異なる業種と比較するのではなく、必ず「同業他社の平均水準」と比較して評価することが求められます。