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物的承継 (ぶってきしょうけい)

事業承継で株式や不動産など会社の資産を後継者へ引き継ぐことを指します。特に自社株の移転は経営権に直結し、相続税・贈与税の負担が課題になりがちです。
事業承継税制の活用や早期の設計が重要です。一方、ノウハウ・人材など“人”を受け継ぐ人的承継と区別されます。

役割・実務での使われ方

事業承継の「所有と財産」の移転

具体的には、以下の2つの資産の移転が主となります。

自社株式(経営権): 会社の意思決定権そのものであり、議決権の3分の2以上(特別決議可決ライン)を後継者に集中させることが安定経営のために重要です。
事業用資産 : 会社や経営者個人が所有する不動産(本社・工場用地など)、設備、資金などです。

M&A(第三者承継)における活用

親族内での物的承継が困難な場合、M&Aが有効な選択肢となります。

後継者不在 : 資産を引き継ぐ親族がいない。
資金力不足 : 株価が高騰しており、親族や役員が株式を買い取る資金がない、または相続税が払えない。
こうしたケースでは、M&Aによって第三者企業へ株式を譲渡(現金化)することで、円滑な物的承継を実現し創業者利益を確保することが可能です。

注意点

税負担とキャッシュフロー(最大の課題)

自社株の評価額が高い場合、譲り受ける後継者に多額の「相続税」や「贈与税」が発生します。
納税資金が確保できないと会社の資産を売却せざるを得なくなるなど、経営基盤を揺るがす恐れがあります。
事業承継税制の活用や、計画的な生前贈与による株価対策が不可欠です。

株式の分散リスク

相続の際、複数の親族に株式が分散してしまうと、後継者が十分な議決権を確保できず経営の意思決定に支障をきたすリスクがあります。
遺言書の活用や種類株式(議決権制限株式など)の導入で、後継者に経営権を集中させる対策が必要です。

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