アーニング・マルチプル・レシオ (あーにんぐまるちぷるれしお)
M&Aでの企業価値の相場感を把握する倍率指標です。M&Aの取引価格÷譲渡対象企業の税引後純利益で算出し、同業の過去事例と比較して妥当性を見極めます。
一時的な利益や会計方針でぶれやすいため、成長性・継続性・EV/EBITDA等と併せて評価します。
英語表記
Earnings Multiple Ratio
役割・実務での使われ方
M&A仲介や検討の現場では、簡易的な価格の目線合わせや、投資回収期間の目安として使われます。
初期的な価格目線(相場感)の把握
M&Aの初期検討段階において、詳細な事業計画に基づく複雑な評価(DCF法など)を行う前に、「この業界なら純利益の〇倍程度が相場」といった形で、大まかな価格の目線感を素早く把握するために利用されます。
投資回収期間の簡易的な目安
買い手企業にとっては、「現在の純利益水準が続いた場合、投資した買収金額を何年で回収できるか」という大まかな年数の目安として認識されます。(例:マルチプルが10倍であれば、投資回収に約10年かかるという単純計算になります)
注意点
一時的な要因による変動(特別損益)
計算の基礎となる「税引後純利益」は、不動産の売却益や災害による損失といった、その期だけの一時的な要因(特別損益)によって大きく変動します。これらが含まれたまま計算すると、実態と異なる倍率となり、誤った判断につながるリスクがあります。M&Aの評価では、こうした一時的な要素を除外した「正常収益力」ベースで修正して考える必要があります。
会計基準や資本構成の影響
企業の採用する会計基準(減価償却方法など)や、借入金の多寡(利息負担の大きさ)によっても純利益は変動するため、異なる企業間での単純比較が難しい側面があります。そのため、実務では資本構成や税率の影響を受けにくいEV/EBITDA倍率と併用して評価することが一般的です。