企業概要書(IM) (きぎょうがいようしょ / あいえむ)
M&Aの売却プロセスにおいて、秘密保持契約(NDA)を締結した買い手候補に対してのみ開示される、対象企業の「詳細な紹介資料」のことです。
ノンネームシート(匿名資料)では分からなかった実名や詳細な財務内容が記されています。財務情報だけでなく、ビジネスモデルや競争優位性、社内体制といった定性的な情報も含まれるため、買い手候補が初期段階で投資判断の基礎をつかむための全体像を把握する役割を果たします。
英語表記
Information Memorandum
役割・実務での使われ方
買い手による「初期的な投資判断」の決定
IMの最大の役割は、買い手候補に「この会社を買収したいか」「いくらなら買収可能か」という初期的な判断をさせることです。
単なる会社案内とは異なり、M&Aの検討に必要な事業の強み、成長戦略、詳細な財務データ(過去の実績と将来計画)、抱えている課題が網羅されています。
買い手はこの資料を基に、買収後のシナジーやリスクを分析し、意向表明書(LOI)を提出するか、辞退するかを決定します。
デューデリジェンス(DD)の基礎資料
IMの内容は、その後のプロセスであるデューデリジェンス(買収監査)の基礎となります。
ここで記載された内容と、後の詳細調査で判明する事実に矛盾がないことが、売り手への信頼性担保につながります。
作成の主体
一般的に、売り手企業から依頼を受けたM&Aアドバイザー(FAや仲介会社)が売り手企業と協力して作成します。
経営陣へのインタビューや社内資料を基に、数週間〜1ヶ月程度かけて作り込まれるのが一般的です。
注意点
「売り込み」と「客観性」のバランス
IMは自社を高く売るための「プレゼン資料」ですが、良いことばかりを並べた過剰な演出は逆効果です。
リスクや課題(例:後継者不在や係争中の案件など)についても正直に開示し、それに対する対策を記載することで買い手の信頼を得やすくなります。
情報の整合性(ストーリーの一貫性)
IMに記載した財務数値や事業説明が、後のデューデリジェンスで誤りだと判明すると、不信感から価格減額や破談につながるリスクがあります。
正確かつ、論理的な一貫性が求められます。