用語集

Glossary

ジューイッシュ・デンティスト (じゅーいっしゅ・でんてぃすと)

敵対的買収を仕掛けられた対象企業が用いる、極めて攻撃的な買収防衛策の一つです。
具体的には、買収を仕掛けてきた企業やその経営陣の過去の失敗、スキャンダル、不祥事などをメディア等を通じて暴露し、社会的信用(レピュテーション)を失墜させることで、買収を断念に追い込む手法を指します。株式の新規発行や法律を使った制度的な防衛策(ポイズンピルなど)とは異なり、世論やマスコミを味方につける心理的・社会的な戦術です。現代のM&A実務においても、企業の評判が買収の成否に直結することを示す象徴的な用語として知られています。

英語表記

Jewish Dentist

役割・実務での使われ方

「情報戦・心理戦」の武器

敵対的買収を成立させるには、対象企業の株主からの賛同(株式の売却)や、取引先・金融機関からの理解が不可欠です。
ジューイッシュ・デンティストは、買収者側のネガティブな情報を意図的に拡散させることで、「あんな問題のある企業に会社を乗っ取られては困る」という世論を形成し、株主の支持を切り崩す「情報戦」の役割を果たします。実務上は、PR会社や危機管理コンサルタントと連携して行われるケースがあります。

一般的な使われ方(ビジネスにおけるネガティブ・キャンペーン)

M&Aに限定せず、プロキシーファイト(経営陣と株主の委任状争奪戦)や企業間の深刻な係争において、相手の落ち度をマスメディアや株主に向けてアピールし、自陣営を有利に導くための広報戦略(ネガティブ・キャンペーン)全般の比喩として用いられることもあります。

注意点

「名誉毀損」や「訴訟」の甚大なリスク

相手の社会的信用を意図的に落とす手法であるため、暴露した情報が事実無根であったり、法的な限度を超えた中傷であったりした場合、逆に買収者から名誉毀損や信用毀損で巨額の損害賠償を請求されるリスクがあります。

自社の信用低下を招くブーメラン効果

相手を激しく非難する泥沼の暴露合戦(ネガティブ・キャンペーン)に発展した場合、市場や投資家からは「どちらの会社もモラルが低い」と見なされかねません。
結果として、対象企業である自社自身の企業価値やブランドイメージまで大きく傷つけてしまう「ブーメラン」のリスクが伴います。

用語の由来とポリティカル・コレクトネス

この用語は、過去の米国の買収劇で情報源となった人物の属性(ユダヤ人の歯科医)に由来するとされています。特定の民族や職業に結びついた表現であるため、現代のグローバルビジネスやコンプライアンスの観点からは、公の場で多用することは避けるべきセンシティブな用語である点に留意が必要です。

関連用語