用語集

Glossary

決算 (けっさん)

企業が一定期間の経営成績と財政状態を明らかにするために行う会計手続で、貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書などの決算書で開示します。
M&Aでは、決算の正確性と透明性が企業価値評価や財務分析、価格交渉の前提となるため、デューデリジェンス(DD)で検証し、必要に応じて調整や表明保証・補償を設計します。

英語表記

Settlement

役割・実務での使われ方

M&Aにおける「企業価値算定(バリュエーション)」のベース

買収価格を決める際、基本となるのは対象企業が直近の決算で計上した利益や純資産の金額です。
買い手はこの決算数値をベースにして「将来どれくらいのキャッシュフローを生み出すか」を予測し、投資に見合う妥当な買収価格を弾き出します。
決算書は、M&A交渉のスタートラインとなる最重要資料です。

中小企業M&A特有の実務:「実態ベース」への修正(正常化)

非上場の中小企業では、税務申告のために税法基準を優先した決算が組まれていることが多く、役員の個人的な経費が混ざっていたり、在庫の評価が実態と異なったりするケースがよくあります。M&A実務では、提出された決算数値をそのまま鵜呑みにせず、事業本来の稼ぐ力(正常収益力)や本当の純資産額(時価純資産)へと修正する作業が不可欠です。

金融機関や株主に対する「企業の通信簿」

一般的な役割として、決算書は企業の健康状態を外部に示す公式な通信簿です。金融機関は決算書を見て融資の可否や金利を判断し、取引先は与信枠を決定します。
毎年正確で透明性の高い決算を行っている企業は、それだけで市場や買い手からの信頼が高まり、M&Aの交渉においても高く評価されやすくなります。

注意点

粉飾決算や不適切会計を見抜く必要性

売上の前倒し計上や架空在庫の計上など、意図的に業績を良く見せる粉飾決算が隠れているケースに注意が必要です。
財務DDでこれらを見落として買収してしまうと、後になって多額の簿外債務を被る恐れがあります。

決算の精度とスピード

M&Aでは、年に1回の本決算だけでなく、毎月の業績を締める「月次決算」が正確かつスピーディーに行われているかが非常に注目されます。
交渉開始からクロージングまでの数ヶ月間で業績が急変するリスクを管理するため、買い手は月次推移を細かくモニタリングします。
また、上場企業が買い手の場合には、グループインした後の決算体制の構築のためにも現状の決算体制が重視されます。

税務会計と企業会計のギャップ

多くの中小企業は税務署に申告するためのルール(税務会計)で決算を作成していますが、M&Aでは会社の真の実力を測るルール(企業会計)で再評価するため、売り手が思っている決算書の数字と買い手が提示する評価額にギャップが生じやすい点に留意が必要です。

関連用語