クリーン・エグジット (くりーん・えぐじっと)
M&Aによる会社売却後、売り手(元経営者)が対象企業に対する一切の責任や金銭的な結びつきから完全に解放される状態のことです。
具体的には、銀行からの借り入れに対する経営者保証(個人保証)が確実に解除されることや、売却後に予期せぬトラブルが起きても多額の損害賠償責任(表明保証違反などによるもの)を負わないことなどが挙げられます。
英語表記
Clean Exit
役割・実務での使われ方
M&A実務における役割
主に売り手(オーナー経営者)の最終的な目標設定や、M&A仲介会社が売り手へ提供する最大のメリットを提示する際のキーワードとして使われます。
「経営者保証の解除」と「売却後の損害賠償リスクの遮断」を基本方針とし、売り手が後顧の憂いなく次の人生に進める状態を目指すための重要な交渉軸となります。
その他の一般的な使われ方
スタートアップ投資やベンチャーキャピタル(VC)の文脈でも、株式上場(IPO)やM&Aによる投資回収(エグジット)後に、偶発債務や追加の義務などの後腐れがない、綺麗に完了した取引を指す言葉として用いられます。
注意点
買い手との利害対立が発生しやすい
売り手は「クリーン・エグジット」を望みますが、買い手はリスクを減らすために「表明保証の有効期間の延長」や「損害賠償の上限額の引き上げ」を求めます。
そのため、最終的な契約条件の交渉において両者の綱引きになりやすい点に注意が必要です。
金融機関の同意が別途必要になる
M&Aの契約(株式譲渡契約など)が成立しても、銀行借入に対する経営者保証が自動的に外れるわけではありません。
解除には、必ず対象の金融機関による審査と同意が必要となります。
買収価格とのトレードオフ
売り手が「一切の責任を負わないこと」を強硬に主張しすぎると、買い手側がリスクを重く見て買収を見送ったり、買収価格(企業評価)を下げたりする要因になるケースがあります。