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割引率(ディスカウントレート) (わりびきりつ)

将来発生するキャッシュフロー(CF)を、現時点の価値(現在価値)に換算する際に用いる計算上の利率のことです。
ファイナンス理論では、資金には「時間的価値」と「リスク」が存在するため、将来の収益は現在の価値よりも割り引いて評価する必要があります。
M&A実務における企業価値評価(DCF法)では、事業のリスクや資金調達コスト(WACCなど)を反映した割引率が設定されます。一般に、事業のリスクが高いほど投資家が期待するリターン(割引率)も高くなり、結果として算出される現在の企業価値は低くなるという逆相関の関係にあります。

英語表記

Discount Rate

役割・実務での使われ方

リスクの数値化

M&Aにおいて割引率は、対象企業のリスクを数値化したものです。
「安定したインフラ事業なら割引率は低く(例:5%)」、「不確実なベンチャー事業なら割引率は高く(例:20%)」設定されます。
これにより、リスクに見合った買収価格であるかを判断します。

WACCの採用

実務上、割引率にはWACC(加重平均資本コスト)が用いられるのが一般的です。
これは対象企業が「株主への配当(株主資本コスト)」と「銀行への利息(負債コスト)」を合わせてどれくらいのコストで資金を調達しているかを示す指標であり、これがそのまま「最低限稼がなければならない利回り」となります。

投資判断のハードルレート

買い手企業にとって、割引率は「投資に対する期待収益率」でもあります。
算出した現在価値(NPV)が投資額を上回るかどうかで、M&Aを実行するか否かの最終判断を下す際のハードルとして機能します。

注意点

わずかな変動で評価額が激変する

割引率は、DCF法の計算結果(企業価値)に極めて大きな影響を与えます。
例えば、割引率を1%変えるだけで、企業価値の評価額が数億円〜数十億円単位で変動することも珍しくありません。

恣意性が入りやすい

「リスクをどう見積もるか」には主観が含まれやすいため、買い手は安く買うために割引率を高めに、売り手は高く売るために低めに設定したいというバイアスがかかりがちです。そのため、客観的なデータ(類似企業のベータ値など)に基づく設定が求められます。

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