IFRS(国際財務報告基準) (いふぁーす / こくさいざいむほうこくきじゅん)
IASB(国際会計基準審議会)が策定する国際的な会計ルールで、企業の財務情報の透明性と比較可能性を高めます。
日本では任意適用で、グローバル展開やM&Aの実務で重要性が増しています。
日本基準が細かなルールを積み上げる「細則主義」寄りなのに対し、IFRSは原理原則を示す「原則主義」の色合いが強い点が大きな違いです。
M&Aでは会計処理にも差が出ます。たとえば非支配持分は、IFRSでは公正価値(全部のれん)と持分比例のいずれかで測定を選択できます。
一方、日本基準は原則持分比例です。またのれんは償却せず、毎期減損テストを行うのがIFRSの基本です。
これらは買収後の利益水準や評価倍率(EV/EBITDA 等)の見え方に影響するため、スキーム設計やPPA、PMIのKPI設定で注意が必要です。
英語表記
International Financial Reporting Standards
役割・実務での使われ方
世界の資本市場における「共通言語」としての役割を果たしており、M&Aの実務では主に以下の場面で重要となります。
クロスボーダーM&Aにおける共通基準
海外企業を買収する、あるいは海外企業から買収される際、互いの財務諸表を同じ基準で理解・分析するための共通言語として機能します。
デューデリジェンス(DD)においても、対象企業がIFRSを採用していれば、グローバル基準でのリスク評価がしやすくなります。
買収後の業績評価と経営管理
IFRS採用企業が日本基準の企業を買収した場合(またはその逆)、連結決算に取り込むために会計基準の調整作業が発生します。
これにより、買収後の連結損益計算書(PL)の見え方が変わり、PMI(統合プロセス)における業績評価指標(KPI)の設定にも影響を与えます。
注意点
のれんの償却(最大の相違点)
日本基準:「のれん」は資産計上され、20年以内の一定期間で定額償却(費用化)されます。これにより、買収後は毎期、営業利益が押し下げられます。
IFRS:「のれん」は定期償却されません(非償却)。その代わり毎期「減損テスト」を行い、価値が毀損したと判断された場合に一気に損失計上(減損処理)します。
実務への影響
IFRSを採用すると、定期的な償却費が発生しないため、日本基準と比較して見かけ上の「営業利益」が大きくなる傾向があります。
これは、企業価値評価で用いられるEV/EBITDA倍率などの指標を良く見せる効果がある一方、将来的に業績が悪化した際には、巨額の減損損失が発生し、突発的に業績が悪化するリスクを抱えることになります。そのため、IFRS適用企業によるM&Aでは、PPA(取得原価の配分)において、のれん以外の無形資産(顧客リストや技術など)を適切に評価・計上し、将来の減損リスクをコントロールすることがより重要になります。