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買戻条項 (かいもどしじょうこう)

株式譲渡・投資契約で一定条件が生じたときに売り手(発行体・創業者等)が買い手から株式を買い戻すことを定める特約です。
価格の算定方法、期限、手続をあらかじめ合意します。
典型的なトリガーはIPO不成立や契約違反などで、投資家の回収可能性を高めますが、資金余力がなければ履行困難となる点に留意が必要です。
なお、M&Aでは権利関係が複雑なためクロージング後の買戻しは稀です。

役割・実務での使われ方

ベンチャー投資における投資家保護

実務で最も多く用いられるのは、ベンチャーキャピタル(VC)などが未上場企業へ投資する場面です。「出資後〇年以内にIPO(株式上場)できなかった場合」などをトリガーとして、投資家が創業者や会社に対して株式を買い取らせる権利(プットオプション)として設定されます。これにより、投資家は最低限の資金回収手段を確保し、投資リスクを低減させます。

M&Aでの利用は限定的

一般的なM&A(株式譲渡)は、売り手から買い手へ経営権を完全に移転させる取引であるため、クロージング後に株式が売り手の手元に戻るような買戻条項が設定されるケースは稀です。 例外的に、売り手の重大な契約違反(表明保証違反など)が発覚した場合の損害賠償的な措置として、あるいは特殊なスキームの一環として部分的に用いられる可能性はありますが、一般的ではありません。

注意点

最大の懸念は「履行能力(お金がない)」リスク

契約書で「買い戻す」と約束していても、いざトリガー条件が発生した時点で、売り手側(創業者や会社)に株式を買い戻すための十分な資金余力がなければ、契約は履行されません。

会社法上の財源規制

発行会社自身が自社の株式を買い戻す(自己株式の取得)場合、会社法が定める「分配可能額(剰余金)」の範囲内でしか行えないという厳しい制限があります。
赤字続きで剰余金がない場合は、たとえ契約があっても会社は適法に買い戻すことができません。

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