連結決算 (れんけつけっさん)
親会社と子会社を一体の“企業グループ”として把握し、グループ全体の財務状況・業績・資金の動きをまとめて報告する決算です。
作成される主な書類は、連結貸借対照表、連結損益及び包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書などです。
グループ内の売上や債権債務、未実現利益は相殺・消去して実態を示します。
M&Aでは取得後に対象が子会社となれば連結範囲に入るため、評価や交渉の基礎資料として重要です。
役割・実務での使われ方
M&Aにおいて、連結決算は検討初期から統合後まで極めて重要な意味を持ちます。
買収検討時のシミュレーション(インパクト分析)
買い手企業が対象会社を子会社化(株式の過半数取得など)する場合、対象会社の業績が自社の連結決算に取り込まれます。
これにより、グループ全体の売上規模がどう拡大するか、負債比率がどう変化するかといった財務インパクトを事前にシミュレーションする際の基礎資料となります。
企業価値評価(バリュエーション)での実態把握
買収対象会社が、その親会社やグループ会社と密接な取引を行っている場合、対象会社の「単体決算」だけを見ても真の収益力は分かりません。
グループ内取引の影響を除外した実態を把握するために、連結ベースでの視点が不可欠となります。
PMIでの重要タスク
M&A成立後、対象会社を連結範囲に含めるためには、会計方針の統一や決算スケジュールの同期化などが必要です。
これはPMIにおける経理財務部門の最も大きなタスクの一つとなります。
注意点
内部取引による「見かけの数字」との乖離
親会社が子会社に商品を押し込んで単体の売上を計上していても、グループ内で在庫となっている限り、連結決算ではその売上と利益は消去されます。
M&Aの対象企業を評価する際は、単体の数字だけでなく、グループ内取引の実態を見極める必要があります。
連結範囲の判定(実質支配力基準)
子会社として連結対象になるかどうかは、単に「株式の50%超を持っているか」だけでなく、「実質的に支配しているか(役員の派遣状況や資金関係など)」で判断されます。M&Aのスキームによっては、意図せず連結対象となったり、逆に関連会社(持分法適用)に留まったりするケースがあるため注意が必要です。
M&Aに伴う「のれん」の計上
M&Aで買収価格が対象会社の純資産を上回った場合、その差額は連結決算上のれんとして計上されます。
日本の会計基準ではこれを定期的に償却(費用化)する必要があり、買収後の連結利益を圧迫する要因となります。