用語集

Glossary

選択と集中 (せんたくとしゅうちゅう)

コア事業を明確にし、ヒト・モノ・カネなどの経営資源を優先配分して競争力を高める経営戦略です。ノンコア事業は撤退・売却(事業譲渡カーブアウト等)でポートフォリオを整理し、収益性や資本効率の改善を狙います。一方で、事業の偏りによる景気変動リスクや機会損失が生じうるため、メリット・デメリットを見極め、M&Aの候補選定や実行計画(KPI)と連動して進めることが重要です。

役割・実務での使われ方

M&Aの現場において、「選択と集中」は事業再編を推進するための最も強力な戦略的根拠となります。

売り手企業のカーブアウト戦略

多角化経営を行っている企業が、本業とのシナジーが薄い部門や不採算部門をノンコア事業と位置づけ、M&Aによって外部へ切り出す(カーブアウト)際に用いられます。これにより得た売却資金をコア事業への投資に回すことで、企業全体の体制強化を図ります。

買い手企業のロールアップ戦略

買い手企業がM&A戦略を立てる際、「自社のコア事業と周辺領域に特化して買収を行う」という方針を決定する基準となります。
同業他社を買収してシェアを拡大するなど、自社の強みをさらに強固にするための投資判断に用いられます。

「コングロマリット・ディスカウント」の解消

多岐にわたる事業を抱える複合企業は、事業全体が見えにくく経営効率が悪いとみなされ、市場から本来の価値よりも低く評価される傾向(コングロマリット・ディスカウント)があります。「選択と集中」を進めることは、このディスカウント状態を解消し、企業価値を適正に評価してもらうための有効な手段となります。

注意点

「一本足打法」のリスク

特定の事業に依存度が高まるため、その市場環境が急激に悪化した場合、経営全体が大きな打撃を受けるリスク(一本足打法のリスク)が増大します。

将来の有力な収益源を失うリスク

現在の収益性だけで判断して事業を売却した結果、その事業が将来的に大きな成長市場に化けた場合、重要な収益機会を逸失する可能性があります。
短期的な視点だけでなく、中長期的な視点での判断が不可欠です。

従業員のモチベーション低下

ノンコアとされた事業に従事する従業員の士気が低下したり、売却に対する不安から優秀な人材が流出したりするリスクがあります。
丁寧なコミュニケーションと、転籍後の待遇などへの配慮が求められます。

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