サム・オブ・ザ・パーツ分析(SOTP) (さむ・おぶ・ざ・ぱーつぶんせき)
事業全体を一つの塊として評価するのではなく、事業ごとに個別に価値を算出し、それを合計して企業価値を導く手法です。
各事業の収益性や成長性が異なる場合、単純に連結ベースで評価するより事業別の価値を分解して評価したほうが、実態に即した価値が出ることがあります。
事業ポートフォリオが複雑な企業、持株会社グループ、非中核事業の切り離し(スピンオフ・売却)を検討する際に特に有用です。
M&Aでは、買い手が各事業の価値を正確に理解し、価格交渉や統合後施策の設計に活かすための基盤となります。
英語表記
Sum of the Parts Analysis
役割・実務での使われ方
SOTPは、主に事業構造が複雑な企業を評価する際に、その「真の実力値」を測るために用いられます。
複合企業(コングロマリット)の適正評価
例えば、「安定した祖業(低成長)」と「急成長中の新規事業(高成長)」を併せ持つ企業の場合、連結全体の数字だけで評価すると、新規事業の高い成長性が祖業の数字に埋もれて過小評価されがちです。SOTPを用いて事業ごとに適切な評価倍率(マルチプル法)を適用することで、隠れた価値をあぶり出します。
M&A・事業再編の戦略策定
買い手側: 対象企業の一部門だけを買収したい場合、その部門単体の価値を評価する基準となります。
売り手側: 「この事業は自社で持つより、他社に売却した方が高く評価される(=株主価値が向上する)」といった判断を下すための根拠となります。
アクティビスト(物言う株主)への対応
アクティビストは、SOTPを用いて「御社の現在の株価は安すぎる。この事業を切り離せば価値が上がるはずだ」と経営陣に事業再編を迫ることがあります。
経営陣も対抗策として自らSOTP分析を行う必要があります。
注意点
SOTPは有用ですが、計算過程で恣意性が入りやすいため、以下の点に注意が必要です。
「本社コスト(全社費用)」の扱い
各事業部の価値を単純に足すだけでは、本社機能(人事、経理、経営企画など)にかかる共通コストが考慮されず、企業価値が過大に算出されてしまいます。
通常は、合計値から本社コストの現在価値を差し引く調整が必要です。
シナジー効果の消失
事業をバラバラに評価するということは、「一緒にいることで生まれていた相乗効果(シナジー)」が失われることを意味します。
そのマイナス面も考慮する必要があります。
あくまで「理論値」である
実際に事業を切り離して売却するには、多大な時間、コスト、税金がかかります。
SOTPで算出された価値は、直ちに実現できる現金価値ではない点に留意が必要です。