二段階買収 (にだんかいばいしゅう)
企業の買収を段階的に進める手法で、最初に対象企業の株式の一部を取得し、その後に残りの株式を取得するという2段階のプロセスで支配権を獲得する買収方法です。最初の段階で一定の支配力を確保しつつ、時間をかけて買収を完了させる柔軟性があるため、資金調達や統合計画、関係者の調整を段階的に進めやすい点が特徴です。M&Aにおいては、売り手側の創業者や大株主が一度に全株を手放すことに抵抗がある場合や、買い手側がまず経営実務との相性を検証しながら段階的に進めたい場合に、二段階買収が用いられます。
英語表記
Two-step Acquisition
役割・実務での使われ方
一度に巨額の資金が必要となる一括買収と比較して資金調達の負担を分散できるほか、統合プロセス(PMI)を段階的に進められる点が大きな特徴です。
売り手への配慮(創業者精神の尊重)
創業オーナーなどが「会社を完全に手放すこと」に心理的な抵抗がある場合、第1段階で経営権(過半数)は譲渡しつつも一定割合の株式を継続保有してもらうことで、スムーズな合意形成を図ることができます。創業者は引き続き経営に関与しつつ、段階的に経営を承継していくことが可能です。
買い手のリスク低減とPMIの円滑化
買い手は、第1段階で支配権を確保した時点で対象企業の内部に入り、経営実態をより深く把握できます。
その上で、本格的な統合(PMI)を進めながら実務との相性やシナジー効果を検証しつつ、第2段階の完全子会社化へ進むことができるため、M&Aのリスクを低減できます。
注意点
手続きの複雑化と期間の長期化
株式取得が2回にわたるため各種手続きが複数回必要となり、一括取得に比べてプロセスが複雑化し、完了までの期間が長期化する傾向があります。
少数株主との利益相反リスク
第1段階と第2段階の間には、支配株主(買い手)と少数株主(残った売り手など)が存在する期間が発生します。
第2段階の買取価格(スクイーズアウト価格など)を巡って、少数株主と利益相反が生じ、価格決定の申立てなどの法的紛争に発展するリスクに留意が必要です。