用語集

Glossary

益金不算入 (えききんふさんにゅう)

企業の決算書(会計上)では「収益」として計上されるものの、法人税を計算する税務上は課税対象の「益金」から除外するルールのことです。
主な目的は二重課税を防ぐことです。M&A実務で最も関わりが深いのが「受取配当金の益金不算入」です。
買収した子会社から親会社へ配当金を出す際、そのお金はすでに子会社側で法人税を支払った後の利益です。
これを親会社側でも再び課税すると二重課税になるため、条件を満たせば配当金の一部または全額を非課税にできます。

英語表記

Exclusion From Gross Revenue

役割・実務での使われ方

買収後の「グループ内資金の効率的な還流(アップストリーム)」の実現

M&A実務において、買収した子会社が創出したキャッシュ(利益)を、税負担を負うことなく効率的に親会社へ吸い上げるための極めて重要な財務スキームとなります。子会社の利益を配当として親会社へ移転する際、この益金不算入制度を活用することで、グループ全体としての税コストを最小化する役割を果たします。

LBOローン等の「買収資金の返済原資」の確保

買い手企業が金融機関からM&A資金を調達する際、対象企業の資産や将来キャッシュフローを担保にする「LBO(レバレッジド・バイアウト)」スキームがよく使われます。親会社は、子会社(対象企業)から益金不算入となる配当金を非課税で受け取り、それをそのままLBOローンの返済原資(元本返済や利息支払い)に充てることができるため、返済計画の現実性を高めるための基礎データとして機能します。

投資回収シミュレーション(ROI・IRR)の精度向上

M&Aの初期検討フェーズやデューデリジェンス(DD)において、買収後の投資回収期間や利回りを試算するバリュエーションの段階で用いられます。子会社からの配当がどれだけ非課税(益金不算入)になるかによって親会社の手残りキャッシュが変わるため、出資比率ごとの税務メリットを織り込んだ正確な投資回収シミュレーションを構築する役割を持ちます。

注意点

「出資比率(保有期間)」によって不算入の割合が細かく変動するリスク

受取配当金の益金不算入は、すべての配当が100%非課税になるわけではありません。親会社が保有する子会社株式の割合(100%保有、33.3%超保有、1/3以下5%超保有、5%以下保有など)や、配当基準日における保有期間などによって、益金不算入となる割合(100%〜20%)が段階的に細かく分かれているため、事前の正確な判定が必要です。

株式の取得時期や短期保有株式への制限

配当を受け取る直前に急遽株式を取得した場合など、一定の短期保有株式から生じる配当については租税回避を防ぐための制限が設けられており、益金不算入のメリットを十分に享受できないケースがあります。

負債の利子(負債利子控除)による不算入額の目減り

子会社株式を取得するために親会社が借入(ローン)を行っている場合、その借入金利(負債の利子)の一部が、益金不算入として処理できる配当額から差し引かれるルール(負債利子控除)があります。これにより、想定していたよりも非課税となる枠が減ってしまう可能性があるため、ローンを組んで買収を行う場合は特に注意が必要です。

税理士や公認会計士等によるグループ税務の精査が必須

持分比率の計算や負債利子の按分計算、さらには「グループ通算制度」を選択すべきか否かの判断などは極めて高度な税務知識を要します。
M&Aの財務モデル(ファイナンシャルプラン)を確定させる前に、必ずM&Aや組織再編税制に強い専門家に精査を依頼することが不可欠です。

関連用語