スーパーマジョリティ条項 (すーぱーまじょりてぃじょうこう)
株主総会における会社の重要な決定事項(合併や取締役の解任など)を可決するための条件を、法律の原則よりもあえて厳しく設定しておくルールのことです。
会社法では、会社の根幹に関わる重要事項の決定(特別決議)には、議決権の「3分の2以上」の賛成が必要とされています。しかし、これを会社のルールブックである定款で「4分の3以上」や「5分の4以上」といった、さらに高い賛成割合が必要になるよう引き上げておくことができます。
英語表記
Super Majority Provisions
役割・実務での使われ方
敵対的買収に対する強力な防衛手段
M&A実務において、意図しない買収者が株式の過半数や3分の2(特別決議の原則ライン)を取得した場合でも、合併等の組織再編や取締役の解任を単独で決議できないようにし、経営権の完全な奪取を阻止する「盾」として機能します。
少数株主の権利保護(マイノリティ・プロテクション)
ジョイント・ベンチャー(合弁会社)の設立や、ベンチャー企業がファンド等からマイノリティ出資(少数持分での資本参加)を受け入れる際、出資比率が低い株主であっても重要事項に対する実質的な「拒否権」を持てるよう、定款の可決要件を引き上げて大株主の独走を牽制する目的で活用されます。
非公開化・スクイーズアウト時の公正性担保
経営陣による買収(MBO)や親会社による完全子会社化などで少数株主を強制的に締め出す(スクイーズアウト)際、一般株主の利益を損なう不当な価格での取引を防ぐため、あえて可決要件を厳しく設定し、手続きの公正性を担保する仕組みとして利用されるケースがあります。
注意点
経営陣の保身とみなされるリスク
経営陣が自己の地位を守るために悪用し、企業価値を高めるような正当な買収提案(友好的なM&A)まで拒絶してしまう恐れがあります。
コーポレートガバナンス(企業統治)の観点から、機関投資家や既存株主から厳しく批判されるリスクが伴います。
迅速な意思決定の阻害(デッドロックの危険性)
可決のハードルを厳しくしすぎると、会社の成長に必要な事業再編や定款変更を行う際にも、ごく一部の少数株主の反対によって議案が否決され、経営が立ち行かなくなる「デッドロック(膠着状態)」に陥る危険性があります。
導入・変更自体が高いハードル
このスーパーマジョリティ条項を定款に定めるための変更決議自体に、現在の株主総会における特別決議(議決権の3分の2以上の賛成)が必要となります。
そのため、導入の合理性について既存株主から十分な理解を得る必要があります。