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売渡請求 (うりわたしせいきゅう)

会社法に基づき、一定の要件の下で相手方に株式の売渡しを求められる制度の総称で、代表例は次の2つです。

①会社法174条
譲渡制限会社が、相続等で株式を取得した者に会社への売渡しを求める仕組み(定款規定・財源規制・「発生を知って1年以内」の期限・価格決定手続きに留意が必要)

②会社法179条
特別支配株主(議決権90%以上)が少数株主に自己への売渡しを求める制度(スクイーズアウト

役割・実務での使われ方

事業承継における「株式分散リスク」の回避(会社法174条)

オーナー企業(譲渡制限会社)において、株主が亡くなり相続が発生した場合、会社の経営に関与しない遠縁の親族などが株式を相続してしまうリスクがあります。
これを防ぐため、会社がその相続人から株式を買い取ることで、経営に友好的な株主(後継者など)に株式を集約し、経営の安定を図るための防衛策として機能します。

M&A後の「完全子会社化(スクイーズアウト)」の手段(会社法179条)

M&A(TOBなど)によって買い手企業が対象会社の株式の90%以上を取得した場合、残りの少数株主から株式を強制的に買い取り、100%完全子会社化するために利用されます。株主総会の決議が不要で、取締役会の承認のみで迅速に進められるため、要件を満たせば株式併合よりも簡便なスクイーズアウト手法として多用されています。これにより、意思決定の迅速化やコスト削減を図ります。

注意点

2つの制度それぞれに、厳格な法的要件と注意点があります。

相続人等に対する売渡請求(174条)の注意点

定款の定めが必須: あらかじめ定款にこの制度を利用できる旨を定めておく必要があります。相続発生後では遅いため、事前の整備が重要です。
財源規制と期限: 会社が自社株買いを行うことになるため、分配可能額(財源)の範囲内で行う必要があります。また、相続があったことを会社が知った日から1年以内に請求しなければなりません。

特別支配株主による売渡請求(179条)の注意点

90%以上の要件: 議決権の90%以上を保有していなければ利用できません。
価格決定の対立リスク: 少数株主は、提示された買取価格に不満がある場合、裁判所に対して価格決定の申立てを行うことができます。適正な価格算定が不可欠です。

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