シャークリペラント (しゃーくりぺらんと)
敵対的買収を仕掛けてくる買収者(シャーク=サメ)を撃退(リペラント=よける)するために、企業があらかじめ導入しておく「事前」の買収防衛策の総称です。
敵対的買収が起こる前に、定款を変更するなどして会社を「買収しにくい状態」にしておくのが最大の特徴です。具体的には、取締役の解任要件を厳格にするスーパーマジョリティ条項や、取締役の任期をずらして一度に交代させないスタッガード・ボード(期差任期制)、買収された際に経営陣へ巨額の退職金を支払うゴールデンパラシュートなど、様々な手法が含まれます。
英語表記
Shark Repellent
役割・実務での使われ方
「事前の抑止力(ハードル)」としての役割
敵対的買収者は、いかに安く、早く、確実に経営権を握れるかを計算してターゲットを決定します。シャーク・リペラントは、平時(買収を仕掛けられる前)から定款や社内規程に防衛策を張り巡らせておくことで、「この会社を買収するには多大なコストと時間がかかる」と買収者に思わせ、ターゲットに選ばれること自体を未然に防ぐという強力な役割を果たします。
一般的な使われ方(有事への備えと経営権の安定化)
上場企業などが、予期せぬ外部からの介入を防ぎ、中長期的な視点で安定した経営を行うための「ガバナンス戦略・リスク管理の一環」として検討・導入されます。
経営の独立性を維持するための予防的措置として使われます。
注意点
「経営陣の保身」という批判と株主総会での否決リスク
シャーク・リペラントの手法の多く(スタッガード・ボードやスーパーマジョリティ条項など)は、導入に「定款変更(株主総会での特別決議)」が必要になります。しかし、近年は国内外の機関投資家を中心に「防衛策は経営陣の保身であり、企業価値やガバナンスを損なう」という見方が強まっています。
そのため、議案を提出しても株主からの賛同を得られず否決されるリスクが高まっています。
企業価値(株価)への悪影響
強力な防衛策を導入すると、買収されることによる将来の株価上昇の期待(買収プレミアム )が剥落し、結果として自社の株価が下落してしまうリスクがあります。
これは既存の株主にとって不利益となるため、導入にあたっては「なぜこの防衛策が中長期的な企業価値の向上に必要なのか」を論理的に説明する責任が伴います。
有事(事後)には導入できない
あくまで買収者が近づいてくる「前」に準備しておく予防策です。実際に敵対的買収のターゲットにされ、TOB(株式公開買付)などが始まってから慌てて定款を変更しようとしても間に合わないため、平時からの周到な準備と株主との対話が前提となります。