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M&A戦略インタビュー

連結売上高200億円突破の原動力
M&Aで広がる園芸ビジネス

企業や商業施設などに植物を貸し出すレンタルグリーン事業から空間プロデュース、植物の販売まで、植物に関する事業を手掛けるユニバーサル園芸社。2009年、造花卸売事業を行っているビバ工芸をM&A。12年、東証JASDAQ市場(現在はスタンダード市場)に上場した。M&Aを企業成長のための手段の一つとしてこれまでに24社をグループ化。総合園芸企業としての展開を加速させている。

Profile

株式会社ユニバーサル園芸社
取締役 グループ会社推進事業本部長 平田 草介(ひらた そうすけ)氏

平田 草介氏

1973年生まれ、長崎県平戸市出身。96年、ユニバーサル園芸社に入社。営業部にて主に新規開拓営業を担当。2007年、責任者として中国・上海支社立ち上げに尽力。23年、Nicolai Bergmann取締役就任。24年、インナチュラル代表取締役就任。同年9月、取締役 グループ会社推進事業本部長に就任。M&Aをした会社のPMIに尽力している。

植物のレンタル事業で躍進

オフィスで仕事の合間にふと顔を上げると目に入る観葉植物。人びとに憩いや癒しを与える植物を、オフィスや商業施設などに貸し出し、定期的に世話をするレンタルグリーン事業をはじめ、植物のある空間のプロデュース、生花店の運営など、植物に関するさまざまな事業を手掛けているユニバーサル園芸社。同社は1968年、大阪・茨木市で誕生した。現会長の森坂拓実氏が造園会社から独立し、一人で植物の販売とレンタル事業を開始。着実な経営で順調に規模を拡大し、1993年には東京に、97年には名古屋に進出し、会社を成長させてきた。
「最初は本当に小さなアパートで植木数鉢から始め、コツコツと積み上げていくことで、少しずつ事業を大きくしていったと聞いています」

同社の成り立ちをこう語るのは、取締役 グループ会社推進事業本部長として同社のM&AやPMI(Post Merger Integration、買収後の事業統合プロセス)を担当している平田草介氏だ。平田氏は、96年に入社。以来約30年、同社の発展に尽力してきた。
「入社後、新規開拓を担当する営業職に従事していました。2007年には、中国・上海で子会社を立ち上げることになり、責任者を任されました。その後、営業部門の総責任者として会社の経営にも携わるようになり、現在はM&Aの実務やグループ会社の管理、PMIなどを担当しています」

同社は、2012年に東証JASDAQ市場(現在はスタンダード市場)に上場を果たした。上場を機に、加速度的に成長していくために事業の多角化を推進。経営戦略にM&Aを組み込み、これまでに24社のM&Aを実施している。園芸に関わるさまざまな事業を展開し、07年には上海に子会社を設立。15年には米国で植物の小売を展開するRolling Greens社をグループ化、16年には米国セッジフィールド社、プレミア社からレンタルグリーン事業を事業譲渡により取得するなど、グローバル展開にも積極的だ。
売り上げも好調で、25年には連結で205億600万円と、24年の連結売上高168億5900万円から約22%増を実現。祖業であるレンタルグリーン分野では、国内トップクラスとなっている。

お客様への提案の幅が拡大

上場後は、仲介会社などから買収の話が数多く持ち込まれるようになり、M&A検討の幅が広がっていった。
「グループが大きくなるにつれ、少しずつ業界の中のいろいろな仕事に関わることができるようになりました」
一口に「園芸業界」といっても、グリーンレンタル業もあれば、レンタル用の植物を生産する生産者もいる。生産者を上流とすれば、その出口となるのが植物を販売する店舗だ。個人向けに植物を販売する生花店の運営、さまざまなところで手軽にグリーンを演出できる造花の製造販売、庭を造成する造園などの仕事もあり、規模も内容も多岐にわたる。
「当社では、グリーンレンタル事業を基幹にしつつ、右手で園芸に関する新規事業を展開、左手で貯めてきた原資を使ってM&Aを行うという形で事業を拡大しています」

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レンタルグリーンを祖業とするユニバーサル園芸社だが、現在は造園事業や生花店の経営など園芸業界に関するさまざまな事業を展開している

積極的にM&Aを行うメリットとしては、同じ業界でも別の事業を行っているために生じるシナジーに言及する。
「たとえば、当社とはビジネス上のやりとりがない生産者のなかにも、質のよい植物や珍しい植物を取り扱っている生産者はいます。そうした生産者とのつながりを持っている会社がグループインしてくれることによって、お客様に提案できる植物の幅が大きく増えていきました」

M&Aによる広がりはさまざまなところで実感できていると平田氏は言う。
「たとえば、レンタルグリーン事業の営業メンバーが提案に行った際、『レンタルグリーンよりもエントランスに花を飾りたい』といった別の要望を聞くことがよくあります。そんなとき、グループ会社に生花を扱う会社があれば『当社のグループでできますよ』と言えます。お客様への提案内容が広がりを持ち、より顧客ニーズに沿った営業ができるようになったのです」

PMIの工夫と重要性

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2009年、同社が最初にM&A を行ったのが造花の卸売販売を行っているビバ工芸だ。カタログでは、造花を1本から購入できる

M&Aをした際よく問題になるのが、PMIがなかなかうまく進まないといった点だろう。
「最初にM&Aを行ったのが09年のビバ工芸ですが、その際にはどうすれば円滑に進められるのかがまだわかっておらず、手探り状態で苦労しました」
M&Aをしたからには何かしなければ、と経営に関しても同社主導でイニシアチブをとろうとした結果、従業員からの強い反発を受ける事態に陥ったこともあったという。そうした経験を踏まえ、現在は基本的に自走支援型に徹している。
「幹部を送り込んで当社のやり方に合わせてもらうのではなく、できるだけ相手の会社のやり方を尊重しています」
変えなければならないことがあれば「こうしたほうがよいと思います」と提案はするが、押しつけはしない。「一緒に伸ばしていきましょう」と言いながら、相手のやりやすい方法を共に模索し、進めていく。
「急な改革を行うよりもかなり長い時間がかかりますが、書類の出し方の整理など細かいところも含め、M&Aをした社員たちにも納得してもらいながら、変えた方がいいところは変えていきます。そうすることで結果的に少しずつ会社の雰囲気がよくなり、利益率も上がります」

また、相手のやり方を尊重する反面、数字の管理に関してはシビアに見ていくようにしているという。
「M&Aの場合、金額として表すことのできないメリットはたくさんあります。一方で、投資したお金をいかに回収するのかという視点も大切です。これは私の持論ですが、M&A後は特にお金の収支をしっかり管理することが大切です。それができていないと、一見うまくいっているように見えても、数字を見た時に『利益がほとんど出ていない』ということもあるのです。ですから、相手の社風を大切にすること、数字に関しては細かく見ていくこと——。この2つをきちんと分けて行っています」

特に経理などを担ってきた人材との関係性の構築は「重要なポイント」だと平田氏は語る。
「私は営業職が長いのですが、経理部門といかに密にコミュニケーションをとって仕事をするかで、仕事のやりやすさが変わってくることを身をもって知っています。さらに管理職になってからは、経理の仕事の大変さや苦労がよくわかるようになりました。特に経理を担ってくれている人が少人数の場合は、さまざまなフラストレーションを抱えていることも多いので、まずは担当者の話をよく聞き、信頼関係を構築するようにしています」
信頼関係が構築できれば、経理から見た会社の内情を知ることもできる。その会社の改善すべき点などが、経理の視点から具体的に指摘してもらえることも多い。
「特に『創業の精神』として経営理念の元となっている『人生二度なし』という言葉は、当社で働く従業員の指針です。会長がよく言う言葉なのですが、『創業の精神』や経営理念を言葉だけ伝えると、古くて硬い言葉という印象を受ける若手もいるようです。そのため『人生は有限で、一度しかない。だったら、やりたいことを精一杯やろうよ』と、噛み砕いて伝えるようにしています」
言っていることは同じでも伝え方によってより深く伝えることができ、従業員の行動変容をも促すことができる。

人にはさまざまな生き方がある。やりたいことがはっきり決まっている人はそこに向かって突き進めばいい。だが、明確に決まっていない人もいるだろう。
「そういう人に対しては、さまざまな選択肢の中から『せっかく入社したのだから、この会社でまずは一生懸命頑張ってみたらどうだろう』と伝えています。経営理念を噛み砕いて伝えることで、最初はなんとなく白けた表情をしていた若手も納得し、一緒にやってくれるようになるのです」
一生懸命働いて成果を出せば、個人の収入は上がり、会社は成長する。会社の成長をそれぞれの社員が担っているということを実感してもらうためにも、日頃から「会社は何のためにあるのか」「どうして成長させなければならないのか」について考える機会を設けている。そのために何ができるのか、何をしていくのかについて考え、実践できる人材を増やしていくのだ。

会社を成長させ続け世界一の園芸会社を目指す

「当社では、この会社を世界一の園芸会社にするという目標を掲げています」
ここでいう世界一とは、単に売り上げだけではないという。利益、シェアはもちろんのこと、財務体質、人材の質、世の中への貢献度といったことも含め、すべてにおいて〝世界一〟の企業になりたいと考えているのだ。
M&Aによってグループ会社を増やし、生産から販売まで園芸業界のさまざまな事業をグループとして持つようになったユニバーサル園芸社。海外に関しても、中国、アメリカ、シンガポールと、着実に拠点を増やしている。

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平均年齢は約32歳前後と比較的若手が中心のユニバーサル園芸社では、若手が生き生きと働いている

「28年にグループ全体の売上高300億円を目指しています。これまで、ユニバーサル園芸社本体とグループ会社との売り上げ比率は5対5でしたが、最近はM&Aのスピードが加速され今期は4・5対5・5の割合に着地しそうだと予測されます。ただ、M&Aの場合、投資回収にコストがかかりますから、利益が削られ利益率が落ちます。そう考えるとM&Aの売上比率は高すぎてもいけない。本業であるユニバーサル園芸社の売上比率はやはり5対5くらいまでになるように調整していく予定です」

また、M&Aを検討する基準として、平田氏は利益率にも言及する。
「純利益は10%、営業利益は15%ほどは出せるポテンシャルがある企業のM&Aをしていきたいと考えています。営業利益15%は園芸業界全体をみると、少し高い数値といえるのですがやってできないことはないものです。やり方と向き合い方によっては不可能な数字ではなく、実際できている会社もあるのです」

同社には、「会社を繁栄させることはすなわち世の中に貢献することにつながる。そのためには会社は成長し続けなければならない」という考えがある。会社の雰囲気なども含め、すべてにおいて世界一の園芸会社になることを目標に、同社はその成長を加速させていく。

Company Profile

株式会社ユニバーサル園芸社

  • 会社名:株式会社ユニバーサル園芸社
  • 所在地:大阪府茨木市佐保193-2
  • 設立:1974年
  • 資本金:1億7200万円
  • 従業員数:1479名(2025年6月末現在、国内:1190名、海外:289名)
  • https://uni-green.co.jp/

※本記事は、当社発行の月刊誌『月刊次世代経営者』2026年5月号の記事をもとに、Web用に一部加筆・修正しています。記事の内容は執筆当時の情報に基づきます。